たった1人の子どもでも、産み育てるということは母親にとって様々な試練を伴う。しかしながら、ホーチミン市5区に住むレ・フイン・アイン・トゥーさんは、5人の子どもを同時に産み育てている。トゥーさんは、ベトナムで初めて且つ唯一の「5つ子ちゃん」の母親だ。
(C) dantri, 5つ子ちゃん |
(C) dantri, トゥーさん |
(C) dantri, 義母キムさんと5つ子ちゃん |
(C) dantri, 5人の食事には近所の人の手も借りる |
同区チャンビンチョン(Tran Binh Trong)通りの細い路地裏にある広さ10m2ほどの家に足を踏み入れると、子どもたちの笑い声や互いに呼び合う声が聞こえてくる。初めて訪れる人は、ここを保育園と勘違いして、この可愛らしい5人の子どもたちが一人の母親から同時に生まれた5つ子だとは到底思わないそうだ。
5つ子は、上からそれぞれ「カー(Ca=長子)」「ハイ(Hai=2番目の子)」「バー(Ba=3番目の子)」「トゥー(Tu=4番目の子)」「ウット(Ut=末子)」のあだ名で呼ばれている。
トゥーさんの夫、グエン・タイン・ヒエウさんはタクシー運転手。24時間、365日、休みなく働いて家族を支えている。家に居られる時は、子どもの世話や送り迎えをこなす。
5つ子の母親、トゥーさんは回想する。「私と夫は親族の仲立ちで知り合って、半年ほどで結婚しました。その後2年間子どもができず、病院で受診するとお医者さんに多嚢胞性卵巣症候群と診断され、妊娠したいならば人工授精の必要があると言われたのです」。
経済的な理由から人工授精という方法は選択できず、彼女にできることは、多胎妊娠のリスクを警告されながらも、ただ自然な妊娠を願い続けることだけだった。そのため、妊娠が分かった時は家族一同、喜びの絶頂だった。
しかし、多胎妊娠とわかり、その知らせを聞いた家族ははじめとても心配した。初めてのエコーで3つ子だと言われ、妊娠4か月の時に4つ子であることが判明した。母子の身体への危険を避けるため、医師は減胎手術を勧めた。