麻薬中毒から自力で抜け出した男性、20年経て中毒者の支援に尽力

2021/05/23 10:10 JST配信

 翌朝6時、トゥアンさんは目を開けた。そして、真新しい服を着せられ、手足は縛られ、死者の装いをさせられていることに気づいた。両親は突然起き上がった息子を目にし、恐怖のあまり両手を天に向けて絶え間なく祈った。トゥアンさんの乾いた口元に涙が流れ、「死ぬこともできないのなら、人として生きていくしかない」と嘆き、両親や近所の人たちの前で再び改心を誓った。

(C) vnexpress
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 それから3日間、トゥアンさんは今度こそ薬物を断つため、タンクの水に浸かった。トゥアンさんの父親は、息子が禁断症状からタンクの壁に頭を打ち付けてしまうのではないかと恐れ、すぐ側に椅子を置いて座り、時折息子の頭を撫でて励ました。半月ほど家に閉じこもり、トゥアンさんはついに麻薬中毒から抜け出した。

 この改心のおかげで、2001年にトゥアンさんは再婚した。トゥアンさんより7歳年下で、隣の村に暮らすファム・ティ・バンさんが、両親や村の人たちの反対を押し切ってトゥアンさんのもとへやってきたのだ。そして2人は借金をして、養鴨場を始めた。

 あるとき、トゥアンさんが結婚式に参加するため隣の村へ行くと、昔の麻薬中毒仲間に会った。トゥアンさんは衝動を抑えきれず、麻薬を打つために仲間と一緒に墓地に行った。シリンジを手に持ち、薬を注射しようとしたその瞬間、妻と生まれたばかりの娘の顔が浮かんだ。

 トゥアンさんは慌てて注射器の中の薬を捨て、痛みで禁断症状が消えるように針で自分の太ももを何度も刺した。その夜、家に帰るとトゥアンさんは血まみれの太ももを妻に見せ、2人は喜びの涙とともに抱き合った。トゥアンさんは、自分が完全に麻薬を断つことができたのだとようやく実感した。

 養鴨場の経営に失敗したトゥアンさんと妻のバンさんは、中古バイク販売や不動産販売など様々な仕事をしながら資金を貯め、南中部沿岸地方フンイエン省でタクシー会社、南中部高原地方ダクノン省でトラック運送会社を立ち上げた。

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