トゥイさんにとってがんは人生の終わりではなく、彼女の人生をより輝かしく再スタートさせるためのチャンスとなった。
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1日が50時間あればと願った闘病の日々
「お母さんね、がんになっちゃった!」トゥイ・ボップの愛称で知られる1983年生まれのブイ・トゥー・トゥイさんは、2015年に胸部に腫瘍が見つかった。その数か月後、息子に自身ががんであることを告げた。
がんがトゥイさんを襲ったのは青天の霹靂だった。息子のボップくんを連れて結婚生活を離れて間もなかった彼女にとって、ようやく生活が落ち着いてきた頃だった。自分ががんだと知らされた瞬間、トゥイさんは医師が何を言っているのかもよく聞こえず、息子が1人きりになってしまうことを考えて、ただただ泣きたくなった。
「多くの人は、その瞬間は死刑判決を聞くのと似ていると言います。でもまったく違いました。死刑判決を受けるということは、その人が罪を犯したことを意味するのであって、遅かれ早かれその代償を払うのは当然のことです。でも、まだ若く健康で美しかった私に『がん』の文字が唐突に押し寄せてきました。私にとってがんは、終わりではなく乗り越えなければならない挑戦のようなものでした」とトゥイさんは打ち明けた。
1週間泣き、それから彼女は生き続けるために立ち上がった。「がんは乗り越えなければ先に進めない障害物のようなものだけれど、自分の人生はこれからも続いていくんだから!」と考えたトゥイさん。病気になる前から息子のボップくんの前では決して疲れた様子や辛そうな姿を見せなかったが、闘病中も変わらず息子の前で気丈に過ごした。
当時小学4年生だったボップくんは、献身的に母親の世話をした。学校から帰ると母親と病院に行き、時には母親の隣に静かに横になって点滴の針を観察し、母親が吐き気をもよおしている様子を感じると、付き添って世話をした。ボップくんは家でも、洗濯、皿洗い、掃除などのすべての家事を1人で黙ってこなした。