【第58回】ベトナム人の化粧事情~なぜ口紅ばかりが売れているのか

2023/03/21 16:30 JST配信

ベトナムの化粧品市場は着実に成長しています。以前は、化粧をせずにスッピンで外出する人も多かったのですが、数年前と比較すると外見に注意を払い、美容製品にお金を費やす人も増えたように感じます。今回の調査ではホーチミンとハノイの16-40歳の女性を対象に化粧品の利用に関する調査を行いました。

20代から美容製品に出費

年齢別に化粧品の頻度を見ると、20代と30代では美容製品の頻度が高くなっています。10代で美容に興味を持ち、20代中頃と30代になると、美容への関心が高まるのに合わせて、収入の増加から美容製品への支出が増えます。一方で、30代後半から40代になると、生活の関心が家庭に移行することもあり、美容製品の頻度が減少しています。

製品別で美容製品の利用を見てみると口紅、洗顔料、日焼け止め(UVクリーム)の3つの製品が、年齢やその他の属性に関係なくベトナムの女性たちによく使われています。日焼け止めの高い人気は、年間を通じて日差しが強く、美白を好むベトナム特有のもので、小さい頃から直射日光を避けるように親から言われていることも影響しています。口紅に関してはベトナム人にとっての化粧品の代名詞ともいえ、鮮やかな色の口紅を好みます。

ベトナム人女性の3つの美容グループ

化粧品製品の所有を年齢別に分析してみると、3つのグループに分類できるのではないかと思います。1つは「全年齢層で人気のある必須製品」で、若年期から高齢期まで使用されている人気のカテゴリーで、口紅や洗顔料がこのカテゴリーに含まれます。2つ目のカテゴリーは、「年齢が上がるにつれて浸透度が高くなる製品」で、アイクリーム、ファンデーション、コンシーラーなど、肌を整えるための製品がこのカテゴリーに含まれます。年齢を重ねるに従って、肌のコンディションが気になり出したり、より自分の外観を特長だてたりといった需要に利用されます。3番目のカテゴリーは、「20代と30代でピークの使用率を持つ製品」です。このカテゴリーの製品にはフェイシャルマスク、化粧水/美容液、日焼け止めなどが含まれ、興味や知識が高くなったベトナム人が購入し始めるものの年を重ねてくると利用頻度が減少するような商品です。

一方で、ベトナム人女性を所有している美容製品でグループ分けしてみると、下記の図のようになります。上位3割の女性が色々な商品を利用しているのに対して、殆どの女性が口紅、洗顔料、日焼けクリームなどの基本的な商品の利用だけに留まっていることがわかります。今後この商品カテゴリーの広がりがベトナムの美容市場拡大の鍵になってくるのではないかと思います。

期待できる今後の成長可能性

今後経済が一層成長したり、多くの化粧品を販売するHasakiやGardiannのような店舗が増えたり、鉄道の開設で公共の場での他人と出会う機会が増えることで、より多くのベトナム人が美容製品に更なる関心を抱くようになると更にベトナムの美容製品の市場は大きくなるでしょう。ベトナムの平均年齢は31歳であり、美容に最も関心を持ち、知識が高い世代も多く潜在性は非常に高いと言えるのではないでしょうか。

著者紹介
株式会社Asia Plus代表取締役社長 黒川賢吾

株式会社Asia Plus ( www.asia-plus.net )代表取締役社長。
NTT、ソニー、ユニクロにて海外マーケティングを担当。
2014年にAsia Plusを設立しベトナムマーケットリサーチサービス
「Q&Me( www.qandme.net )」を展開中


統計から見るベトナム
その他の記事はこちら>
※VIETJOは上記の各ソースを参考に記事を編集・制作しています。
© Viet-jo.com 2002-2024 All Rights Reserved 免責事項

新着ニュース一覧

 米空軍は南中部沿岸地方ビントゥアン省ファンティエット空港で20日、ベトナム空軍に米国製の練習機「T-...
 ブイ・タイン・ソン副首相は19日、北中部地方タインホア省で計画されているWHAスマートテクノロジー工...
慣れない海外生活、急病や事故
何かあってからでは遅い!
今すぐ保険加入【保険比較サイト】
 地場系コングロマリット(複合企業)ビングループ[VIC](Vingroup)傘下の電
 午後3時、ハノイ市ハイバーチュン区ファムディンホー街区在住のグエン・ゴック・クアンさん(男性・61歳...
 チャン・ホン・ハー副首相は、輸入車両と国内製造・組み立て車両に求められる排ガス基準の適用ロードマ...
 スマートプロジェクターとレーザーテレビの設計・製造を手掛ける中国のエクスジミー(XGIMI)はこのほど...
 格安航空会社(LCC)最大手ベトジェットエア[VJC](Vietjet Air)は、「ブラ
 国会は20日、教師法草案を審議した。議員らは、収入の圧力が教育業界への優秀な人材の誘致を阻害する原...
 地場系コングロマリット(複合企業)ビングループ[VIC](Vingroup)は、ロボ
 阪急阪神不動産株式会社(大阪府大阪市)と株式会社シーアールイー(東京都港区)は、シンガポール政府系企...
 南中部沿岸地方ダナン市警察は18日、顧客7500人以上から金銭を騙し取ったとして、GFDI投資コンサルティ...
 日本政府観光局(JNTO)が発表した統計によると、2024年10月の訪日ベトナム人の数は前年同月比+1.1%増の...
 日本の財務省が発表した2024年10月の貿易統計(速報)によると、ベトナムの対日貿易収支は前年同月比+24....
 大阪府堺市は、日本の環境省が実施する脱炭素社会実現のための都市間連携事業の一環として、南中部沿岸...
トップページに戻る