外務省のグエン・フオン・チャー副報道官は23日、米国の裁判所が、米農薬大手モンサント(Monsanto)の除草剤ががん発症の原因になったとして、被害者への賠償金の支払いを同社に命ずる判決を出したことに関連して、同社には米軍がベトナム戦争で使用した枯葉剤(エージェント・オレンジ)の被害者に対し賠償する責任があるとの見解を表明した。
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米サンフランシスコの裁判所は8月10日、モンサントの除草剤の使用でがんを患ったとする男性の訴えを認め、同社に2億8900万USD(約321億円)の賠償金を支払うよう命じた。モンサントは、この男性のほか5000人以上から同様の訴えを起こされている。
チャー副報道官は「この判決は、モンサントや他の米国の化学メーカーがベトナム戦争中に米軍に供給した除草剤は人の健康に害を及ぼさないとするこれまでの主張を覆す判例だ。モンサントは同社が供給した枯葉剤の被害者にも賠償する責任がある」と強調した。
ベトナム枯葉剤被害者協会(VAVA)は2004年に、モンサントを含む米国の化学メーカー37社を相手取って米連邦裁判所に提訴したことがある。しかし裁判所は、枯葉剤の供給は戦争犯罪を構成しないとして棄却した。