考古学者のハー・バン・タン氏が死去、ベトナム考古学研究の基礎築く

2019/11/29 06:25 JST配信

 ベトナムを代表する歴史学者・考古学者で、ベトナム社会科学研究所傘下考古学研究所の所長も務めたハー・バン・タン(Ha Van Tan)氏が27日21時02分、ハノイ市の老人病院で死去した。82歳だった。

(C) vnexpress
(C) vnexpress

 タン氏は、故ディン・スアン・ラム(Dinh Xuan Lam)氏、故ファン・フイ・レ(Phan Huy Le)氏、故チャン・クオック・ブオン(Tran Quoc Vuong)氏と並んで、現代のベトナム歴史学の基礎を築いた「四天王」の1人として知られる。

 タン氏は1937年8月16日生まれ。現在の北中部地方ハティン省ギースアン郡ティエンディエン町(thi tran Tien Dien, huyen Nghi Xuan)出身で、学者の一族に生まれた。中学卒業後にハノイ市へ移り、大学に入学。歴史学の道を志し、大学卒業後は大学で教鞭をとった。

 1982年から2009年まで現在のベトナム国家大学ハノイ校(ハノイ国家大学)傘下人文社会科学大学歴史学科における史学方法論部門の主任を、1988年から2008年まではベトナム考古学研究所の所長を務めた。

 1980年に教授となり、人民教師の称号、1等労働勲章、3等労働勲章、2等対米抗戦勲章を受章したほか、科学技術分野でホー・チ・ミン賞を受賞。歴史学と考古学に留まらず、言語学や文化学など多くの分野に精通し、韓国語やフランス語、英語、ロシア語、ドイツ語、日本語、サンスクリット語も独学で習得した。

 1960年、若干23歳のときに、グエン・チャイ(Nguyen Trai)が著した「與地志」の解題・校訂・注釈を手掛けたほか、ブオン氏との共著により「ベトナムにおける原始共産制度の歴史」を出版。ブオン氏とは「ベトナム封建制度の歴史」、「ベトナム原始考古学の手引き」などを著した。

 また、露越対訳の考古学用語集や、考古学の基礎、ドンソン文化、考古学における統計などに関する多数の著作があり、300本にも及ぶ論文も残している。1991年にはベトナムの考古学史や旧石器~鉄器時代に至るまでの概説をまとめたタン氏の著作が考古学者の菊池誠一氏により翻訳され、「ベトナムの考古文化」として日本で出版されている。

 タン氏はここ数年、脳卒中を患い病と闘っていたという。関係者からは、ベトナムの歴史学、考古学、そして社会科学の分野にとって大きな喪失だと悲しみの声があがっている。

[VnExpress 06:56 28/11/2019 / Tuoi Tre 23:36 27/11/2019, A]
※VIETJOは上記の各ソースを参考に記事を編集・制作しています。
© Viet-jo.com 2002-2025 All Rights Reserved 免責事項

この記事の関連ニュース

 日本の外務省は、今年6月に死去したベトナムの著名な歴史学者である故ファン・フイ・レ氏に外務大臣感...
 23日に死去した歴史学者のファン・フイ・レ氏の葬儀が27日にハノイ市
 ベトナムの著名な歴史学者で、ベトナム歴史科学会の会長も務めたファン・フイ・レ(Phan Huy Le)氏が23...
 フランス学士院の碑文・文芸アカデミーはこのほど、歴史学者のファン・フイ・レー教授を同アカデミー客...

新着ニュース一覧

 米マイクロソフト(Microsoft)が発表した調査報告書「ワークトレンド指数(Work Trend Index)」2025年版...
 在ベトナム米国大使館は18日、巡視船「CSB8022」をベトナム海上警察に引き渡したと発表した。越米間の...
 宅配を手掛ける地場ゴゾ・エクスプレス(Gozo Express)は18日、地場系コングロマリット(複合企業)
慣れない海外生活、急病や事故
何かあってからでは遅い!
今すぐ保険加入【保険比較サイト】
(※本記事はVIETJOベトナムニュースのオリジナル記事です。) 【ロンドン編】はこちら 【パリ編】は
 最先端の機械学習テクノロジーを活用してモバイル資産を識別・評価・最適化する米国のラウンズ(Rounds)...
 サイゴンハノイ保険[BHI](Sai Gon-Ha Noi Insurance Corporation)は、韓
 ホーチミン市7区のサイゴンエキシビション&コンベンションセンター(SECC:799 Nguyen Van Linh, quan ...
 ベトナムは、ライチの生産量で中国に次ぐ世界2位となっている。  2025年の収穫量は約30万3000tで、...
 地場系コングロマリット(複合企業)ビングループ[VIC](Vingroup)傘下の電
 ハノイ市ノイバイ国際空港で、ベトナム人乗客による日本円の違法持ち出しが発覚した。税関当局が18日に...
 国内IT最大手のFPT情報通信[FPT](FPT Corporation)はこのほど、東南部地
 国会は18日、エネルギー使用効率化法の一部を改正・補足する法律を可決した。同法は2026年1月1日に施行...
 持田製薬株式会社(東京都新宿区)とMeiji Seikaファルマ株式会社(東京都中央区)は、持田製薬が日本で販...
 ベトナム発のITソリューション企業であるカオピーズ(Kaopiz、ハノイ市)と、東南アジア市場における医療...
 米グーグル(Google)と財政省傘下のベトナム国家イノベーションセンター(NIC)は18日、ベトナム国内での...
トップページに戻る