幼くして親元を離れて奉公に出て、階段の下で7年暮らし、一時は橋に下でストリートチルドレンの生活を送っていた女性が昨年、オーストラリアで優秀な留学生として表彰された。
(C) dautu, ダン・ティ・フオンさん(中央) |
紅河デルタ地方ビンフック省ラップタック郡ドンイック村にある実家では、久しぶりに帰省した娘を取り囲んで笑いが絶えない日々が続いていた。28歳になる娘ダン・ティ・フオンさんが2年間のオーストラリア留学の後、数々の賞状を持って帰ってきたのだ。
フオンさんは昨年、豪ヴィクトリア州で優秀な留学生を称える賞を2つ受賞した。2賞を同時に受賞したベトナム人は彼女が初めてだという。さらに彼女は、ボックスヒル学院の「2013年国際学生大使」にも選ばれた。オーストラリアで華々しい成功を収めた彼女だが、そこに至るまでに幾多の苦難を乗り越えてきたのだ。
彼女は妾の子だった。愛人をしていた母親は今にも崩れ落ちそうな家に住み、雨の日には家族で身を寄せ合って眠った。母と兄と妹の4人家族で、彼女も働き手の一人だった。教師になりたいという夢を抱きながら、家庭の事情で、中学校を休学して奉公に出ざるを得なくなり、13歳のとき単身ハノイで働き始める。当時身長130センチ、体重27キロの小柄な少女だった彼女は不安で胸がいっぱいの中、故郷を後にした。