近年、人々の生活は日増しにせわしなくなり、多くの人は親しい人が病気になっても世話をする時間が取れない。そのため、病人の看病をするという新たな仕事が生まれた。ベトナムの大きな病院では、常時数十人から数百人がそのような仕事をしている。
(C) thanhnien |
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メコンデルタ地方ベンチェ省出身のチュオン・チャウ・ハーさん(女性・43歳)は、ホーチミン市タンフー区にある国際神経外科病院でこの仕事をしている。午前8時、彼女は病室の前の折りたたみ椅子の上で、ジャケットを上にかけて横になっていた。
「昨夜、私の患者さんは深夜3時まで大騒ぎしていたんです。副鼻腔炎の症状もあり、薬を飲んでもまだ頭痛が取れません」とハーさんは疲れた声で言った。
ハーさんの隣に置いた折りたたみ椅子で、同業であるメコンデルタ地方カマウ省出身のボー・ティ・ニさん(女性・48歳)が教えてくれた。「ハーさんは難しい患者さんにあたりましたよ。患者の男性は80歳を過ぎていますが、まだ力が強く、騒ぎ出すとチューブもオムツもむしり取ってしまいます。医者は彼の手足をベッドに縛るのですが、それでも暴れてベッドが濡れてしまうので、常に見守っていないといけないんです。どんな仕事もそうですが、良い時もあれば、大変な時もあります」。
ニさんとハーさんの2人は、この病院で当直のようにずっと病人の世話をしている。ホーチミン市内の病院では、基本的にこの仕事の内容や収入はさほど変わらない。
「私はカマウ省出身で子供が2人います。10年前に夫が亡くなってから、あらゆる仕事をして苦労してきました。農業、養豚、酒造から雇われ労働者、漁船の船員まで何でもやりましたが、子供を育てるには十分な稼ぎがありませんでした。そんな時、ここで同じようにして働く親戚の子から、病人の世話で十分な稼ぎが得られるという話を聞き、私もやってみることにしたんです」と、ニさんはこの仕事を始めたきっかけについて教えてくれた。
親戚が紹介してくれたニさんの初めての患者は、ホーチミン市タンビン区トンニャット病院に入院していた90歳近い男性だった。家族は男性の面倒を見る時間がないため、ニさんが24時間体制で世話をするという任務を負った。