ホーチミン市1区グエンフエ(Nguyen Hue)通りの歩行者天国でおもちゃを売っている白髪の老人が、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)上で話題となった。
(C) thanhnien |
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老人は、暗くなった通りの路上にシートを広げておもちゃを並べる。白髪にしわの寄った白い肌の顔、シミだらけの手。頭に青い帽子を被った4区在住のゴ・クアン・チーさんは、行き交う人々の流れを見つめながらタバコに火をつけた。チーさんの歩行者天国での夜はこうして始まる。
チーさんのおもちゃは売れても一晩に1~2個だけ。全く売れないこともある。それでも病気の時以外は毎晩この路上に現れる。
チーさんは現在、4区の路地裏にある広さ52m2の家に暮らしている。チーさんによると、その土地はかつて親戚たちの助けを借りてゴールド20テール(1テール=37.5g、計750g)で購入したもので、家族が少しずつ資材を購入して頑丈な家を建て、階を増築していったという。
チーさん夫妻には子供が5人いるが、今は娘1人と息子1人、そして数人の孫と一緒に暮らしている。今年50歳で肉体労働者として働いている娘に負担をかけないよう、チーさんはおもちゃを売りに出かけているのだという。
リウマチを患い、足を引きずって歩くチーさんの姿を見て、子供たちは家にいるよう何度も勧めたが、チーさんは聞き入れなかった。「家にいてもつまらないですから。妻は身体が不自由で1か所に座っているだけですし、私はテレビを見たいわけでもないですし、手足のこわばりをとるために家でうろうろしていても退屈なんです。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)で数か月間家にいましたが、こうして外に出て笑いたかったんです」とチーさん。
路上で生計を立てている高齢者の多くは生活に苦労している一方、チーさんはというと、好きで路上に出ていて、それが老後の喜びなのだという。