ベトナム会計税務事情(1):チーフアカウンタントの採用、安易に決めるべからず

2015/07/11 06:00 JST配信

雇用?vs外注?

 プロ野球チームを強くするに当たって重要な戦略の一つとして、以下の2択があります。

1.コストをかけず、長期的目線で優勝を狙う。
2.コストをかけ、短期的目線で優勝を狙う。

 1は、いわゆる若手育成戦略で、若手選手をファームで時間をかけて育成し、将来的にチームを強くしていく戦略です。コストは安いですが、急激にチームを強くすることも出来ません。(日本プロ野球ではこの特徴が強いのは日本ハムでしょうか。大谷選手の育成に力を入れていることも有名です。)

 2は、いわゆる大型補強戦略で、抜群の成績を残しているスタープレーヤーを多額の報酬で獲得し、獲得と同時にチームを強くする戦略です。(資金力が強いメジャーリーグは全体的にこの戦略が顕著です。楽天の田中将大投手が多額の年棒でヤンキースに行った事は記憶に新しいはずです。)

 ここで本題に戻ります。

 CAを自社内で雇用するか、会計事務所に外注するか、という選択はまさに上記の1、2の戦略と似ています。あてはめてみますと、下記のようになります。

1.コストをかけず、若いCAを雇用、自社内で将来の自社の信頼できる幹部候補へと育成。ただし、離職率の高いベトナムで長期育成することへの不安は否めず。
2.コストをかけ、既に実績のある会計事務所に委託し、当初から質の高いサービスを享受。ただし、自社独自人材として扱うことが難しい。

 1、2とも得手不得手があり、どちらにすべきという答えがあるものではありません。長期的にベトナム法人をどのように運営していくかの視点によって異なるものですので、安易に判断せず、会社のビジョン及び事業計画を理解した上で慎重に判断して頂ければと思います。

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著者紹介
尾崎 士朗 (おざき しろう) 公認会計士

SCS Global Consulting (Vietnam) Co., Ltd.  ホーチミン代表

神奈川県鎌倉市出身。大学卒業後、KPMG Japanに入社。
2014年よりSCS Global Vietnamに参画し、主に日系企業の会計、税務、監査に関するサービスを提供している。プライベートでは学生時代にやっていたバスケットボールを続けており、ホーチミン市バスケチームにも所属している。

ベトナムの会計事情
その他の記事はこちら>
[2015年7月11日 ベトジョーコラム A]
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