皆さん、こんにちは。ALSOKベトナムの安立です。
前回(工場のセキュリティ~対策その1~)で、「抑止」および「証拠保存」という観点から監視カメラをご紹介したところ、コラムを読んだ工場経営者の方から質問がありましたので、この場をお借りして回答します。読者の方からのフィードバックは、大変貴重ですので、出来る限りコラム内に反映させていきたいと思っています。
工場の監視カメラ、何が映っていますか?
その工場は、6年ほど前にホーチミン市近郊の工業団地に進出した製造業で、約1000人のワーカーが働いています。
質問をそのまま掲載すると「コラムを読んで、気になったので工場の監視カメラの映像を見てみたら、所々歯抜けになっていたり、壁のようなものが映っていたりしている。大丈夫だろうか?」でした。
実際の現場を見ていないので、あくまで想像ですが、その工場では複数台の監視カメラの画像を1台のディスプレイに映しているのだと思われます。そして「歯抜けになっている」という状態は、監視カメラのいくつかが故障している状態、「壁のようなものが映っている」という状態は、何者かによって監視カメラの方向が変えられたか、単純にボルト等が緩んでカメラが壁や床の方向を向いている状態と思われます。
監視カメラの機能を有効に活用するための確認ポイント
折角、監視カメラを導入したのに、正常に機能していないと意味がありません。当然のことですが、故障している監視カメラは修理か交換してもらい、正常な方向を向いていない監視カメラは方向調整をする必要があります。監視カメラおよび録画装置については、本来の機能を有効に活用するために、上記の他にも次のポイントを確認することをお勧めします。
1.録画装置の時刻にズレは無いか?
折角、証拠画像として使おうとした際に時刻がズレていては話になりません。
2.画像の乱れは無いか?
これは、機器やケーブルの劣化、電波などの外部要因で発生します。
3.レンズ汚れによる不明瞭な画像
鳥などの小動物の糞やホコリなどを記録し続けても意味がありませんね。
IPカメラの利点とアナログカメラとの違い
特に、劣化した機材はリニューアルされることをお勧めしています。前回ご説明した通り、ベトナムでも、ここ1~2年の間に最新式の監視カメラが入手できるようになってきました。もちろん費用対効果を考慮する必要はありますが、可能であれば監視カメラは、従来のアナログ方式からIP方式へリニューアルされることをお勧めしています。
まず、第一に画像の解像度が違います。
中央に掛かっているカレンダーの日付を見ていただくと違いがハッキリすると思います。これは、例えば製造工程や現金を扱うような場面で、手先の動きを正確に記録しておきたい時に有効ですね。
第二に、従来のアナログカメラの場合、画像用のケーブルと電源ケーブルの両方を敷設する必要がありましたが、IPカメラであれば、LANケーブル一本で画像データと電源供給の両方を可能にします。
配線がシンプルであるということは、導入コストもメンテナンスコストも安く済みます。また、ベトナムで頻発する停電についても、ネットワーク上の機器(ハブなど)にUPS(無停電電源装置)を付設することで、数時間程度の停電であれば対応できるようになってきました。停電の間は窃盗などの事件が発生しやすい条件が揃いますが、従来は対策が困難でした。
第三に、IPカメラの映像は、容易にお手元のスマホやタブレットから画像を確認することが出来ます。従来のアナログカメラも、機器やネットワーク構成を工夫すれば可能でしたが、IPカメラは、さらに容易になりました。
この機能を有効活用している例として、ある食品工場では、日本の本社からベトナム工場内の製造工程を全てIPカメラで画像確認・保存されています。なお、本機能を利用する際は、外部から社内ネットワークにアクセスするためネットワークセキュリティ(ファイアウォールなど)面での考慮が必要であることを付け加えておきます。
今回は、監視カメラについての補足説明をしました。書きたいことは、まだまだありますが、この辺で止めておきます。次回は、「防止」の観点から、出入り管理システムを使った人間の出入り・動きをコントロールする方法を説明します。