皆さん、こんにちは。ALSOKベトナムの安立です。
前回、ベトナムの工場は、「隙あらば」と狙っている人間にとっては宝の山であるというお話をしました。日本人がゴミだと考えているようなモノでさえ、ここベトナムでは換金することが出来ます。(ゴミゴミした街中でも、空き缶や空き瓶などは落ちていないことに気付かれた方もいらっしゃるかもしれません。)
お宝を狙っている人間は誰?
お宝を狙っている人間とは誰でしょう。日本であれば、最初に浮かぶのは外部から侵入してくる窃盗犯ですが、ここベトナムは、実は内部犯行の割合が多いと言われています。実際に、工場を管理する経営者・駐在員の方からも多くの相談を受けています。(残念ながら、工場や企業内部の犯罪の場合、当局への届け出がされないケースが多いため、正確な統計数字はありません。)
内部犯行と言っても、工場には多くの人がいます。オフィス勤務の方やワーカーさん、さらには警備員や清掃員などの出入りの業者です。セキュリティに関して言えば、性善説ではなく性悪説で対応することが、結果的に犯罪の防止に繋がると考えて下さい。
対策のポイントと多様なカメラ
では次に、重要な対策のポイントについて説明します。重要なのは「抑止」「証拠保存」「防止」の3つのポイントを効果的に組み合わせた対策を施すことです。「抑止」および「証拠保存」で、最もポピュラーで効果的なものはカメラです。ベトナムにおいても、近年、日本と同等の最新機能を搭載したカメラが入手できるようになりました。
手先などの細かい部分まで撮影出来る高感度のものや、夜間の赤外線カメラ、スマホやタブレットから画像を閲覧出来るネットワーク型のIPカメラや、極小型(の隠し)カメラなどなど、利用方法・場所によって最適なものを選ぶことが出来ます。最近では、日本のオフィスからベトナムの工場内を監視するケースも増えて来ました。
写真1が、一般的なボックス型カメラです。工場の外壁など屋外に設置されることが多く、雨や風に強いたくましいヤツです。侵入者に対する威嚇効果も抜群です。
写真2のドーム型カメラは、比較的違和感が無いため、店舗やオフィスで設置されることが多いです。レンズがどの方向を向いているかが(侵入者にとって)判別しにくいというメリットがあります。
写真3の可動式カメラは、固定式のボックス型やドーム型と比較して撮影範囲が広角になります。ただし、当然ではありますがレンズが向いていない時は死角になります。
写真4は火災警報器の形をした極小型(の隠し)カメラです。
極小型(の隠し)カメラは、日本ではよく反社会勢力対策で応接室に設置するケースがあります。ここベトナムでは、数は多くありませんがレストランの個室に設置されているのを見かけます。これは個室での(従業員による)窃盗や、(忘れ物紛失などの)クレーム対策で設置されることが多いです。貴重品を入れたバッグを個室に忘れたと偽ってクレームを入れる不届き者がいるんですね。ケースにもよりますが、小型集音マイクを使って、音声と映像を一緒に録画装置で保存することも可能です。
証拠保存にはレコーダー
工場のセキュリティに話を戻します。カメラだけでは「証拠保存」は出来ません。レコーダーが必要です。接続可能なカメラの数(4~32台が一般的)や保存期間(数週間から数か月間)によって機種を選択します。
コスト面などから1台のレコーダーに全てのカメラを繋ごうとされる場合がありますが、出来ればレコーダーは複数台を導入されることをお勧めします。よくあるのは、工場建物の内側に設置したカメラと外側に設置したカメラそれぞれ用にレコーダーを使い分けるケースです。
また、後々の管理をしやすくするために製造ライン、倉庫、事務所、共用部、外部といったように用途別にきめ細かくレコーダーを用意するケースもあります。製造ラインの順序に合わせてモニターの左上から順番に映像を配置することで、一連の製造の流れを見やすくするといった工夫も可能です。
では、次回は「防止」の観点から、人間の出入り・動きをコントロールする方法を説明します。