ベトナムのセキュリティ事情(4):工場のセキュリティ~対策その1~

2015/07/04 04:00 ICT配信

 皆さん、こんにちは。ALSOKベトナムの安立です。

 前回、ベトナムの工場は、「隙あらば」と狙っている人間にとっては宝の山であるというお話をしました。日本人がゴミだと考えているようなモノでさえ、ここベトナムでは換金することが出来ます。(ゴミゴミした街中でも、空き缶や空き瓶などは落ちていないことに気付かれた方もいらっしゃるかもしれません。)

お宝を狙っている人間は誰?

 お宝を狙っている人間とは誰でしょう。日本であれば、最初に浮かぶのは外部から侵入してくる窃盗犯ですが、ここベトナムは、実は内部犯行の割合が多いと言われています。実際に、工場を管理する経営者・駐在員の方からも多くの相談を受けています。(残念ながら、工場や企業内部の犯罪の場合、当局への届け出がされないケースが多いため、正確な統計数字はありません。)

 内部犯行と言っても、工場には多くの人がいます。オフィス勤務の方やワーカーさん、さらには警備員や清掃員などの出入りの業者です。セキュリティに関して言えば、性善説ではなく性悪説で対応することが、結果的に犯罪の防止に繋がると考えて下さい。

対策のポイントと多様なカメラ

 では次に、重要な対策のポイントについて説明します。重要なのは「抑止」「証拠保存」「防止」の3つのポイントを効果的に組み合わせた対策を施すことです。「抑止」および「証拠保存」で、最もポピュラーで効果的なものはカメラです。ベトナムにおいても、近年、日本と同等の最新機能を搭載したカメラが入手できるようになりました。

 手先などの細かい部分まで撮影出来る高感度のものや、夜間の赤外線カメラ、スマホやタブレットから画像を閲覧出来るネットワーク型のIPカメラや、極小型(の隠し)カメラなどなど、利用方法・場所によって最適なものを選ぶことが出来ます。最近では、日本のオフィスからベトナムの工場内を監視するケースも増えて来ました。

 写真1が、一般的なボックス型カメラです。工場の外壁など屋外に設置されることが多く、雨や風に強いたくましいヤツです。侵入者に対する威嚇効果も抜群です。

 写真2のドーム型カメラは、比較的違和感が無いため、店舗やオフィスで設置されることが多いです。レンズがどの方向を向いているかが(侵入者にとって)判別しにくいというメリットがあります。

 写真3の可動式カメラは、固定式のボックス型やドーム型と比較して撮影範囲が広角になります。ただし、当然ではありますがレンズが向いていない時は死角になります。

 写真4は火災警報器の形をした極小型(の隠し)カメラです。

 極小型(の隠し)カメラは、日本ではよく反社会勢力対策で応接室に設置するケースがあります。ここベトナムでは、数は多くありませんがレストランの個室に設置されているのを見かけます。これは個室での(従業員による)窃盗や、(忘れ物紛失などの)クレーム対策で設置されることが多いです。貴重品を入れたバッグを個室に忘れたと偽ってクレームを入れる不届き者がいるんですね。ケースにもよりますが、小型集音マイクを使って、音声と映像を一緒に録画装置で保存することも可能です。

証拠保存にはレコーダー

 工場のセキュリティに話を戻します。カメラだけでは「証拠保存」は出来ません。レコーダーが必要です。接続可能なカメラの数(4~32台が一般的)や保存期間(数週間から数か月間)によって機種を選択します。

 コスト面などから1台のレコーダーに全てのカメラを繋ごうとされる場合がありますが、出来ればレコーダーは複数台を導入されることをお勧めします。よくあるのは、工場建物の内側に設置したカメラと外側に設置したカメラそれぞれ用にレコーダーを使い分けるケースです。

 また、後々の管理をしやすくするために製造ライン、倉庫、事務所、共用部、外部といったように用途別にきめ細かくレコーダーを用意するケースもあります。製造ラインの順序に合わせてモニターの左上から順番に映像を配置することで、一連の製造の流れを見やすくするといった工夫も可能です。

 では、次回は「防止」の観点から、人間の出入り・動きをコントロールする方法を説明します。

著者紹介
安立 光孝 (あだち みつたか)

ALSOK (VIET NAM) CO.,LTD  代表取締役社長

コンピュータメーカーで17年間システムエンジニアとして従事。製造業における生産管理システムやファクトリオートメーションシステムの構築を担当。1998年から4年間、米国シリコンバレーに駐在し、ITセキュリティのベンチャー企業を発掘、日本市場への参入を支援。2007年に綜合警備保障株式会社(ALSOK)入社。新規事業の「情報警備」事業を立ち上げ、2014年4月より現職。

ウェブサイト:https://www.alsok.com.vn/

ベトナムにおけるセキュリティー事情
その他の記事はこちら>
© Viet-jo.com 2002-2026 All Rights Reserved 利用規約 免責事項

この記事の関連ニュース

 皆さん、こんにちは。ALSOKベトナムの安立です。  これまでベトナムのセキュリティ事情について書...
 皆さん、こんにちは。ALSOKベトナムの安立です。  前回までは、オフィスや工場で発生する窃盗への...
 皆さん、こんにちは。ALSOKベトナムの安立です。  今回は、内部不正について書く予定でしたが、予...
 皆さん、こんにちは。ALSOKベトナムの安立です。今回から数回に分けて、警備業界の中でも技術革新が最...
 皆さん、こんにちは。ALSOKベトナムの安立です。  今回は、「防止」の観点から、工場やオフィスの...
 皆さん、こんにちは。ALSOKベトナムの安立です。  前回(工場のセキュリ
 皆さん、こんにちは。今回から数回にわたって工場のセキュリティについて考えてみたいと思います。 ...
 皆さん、こんにちは。ベトナムにおけるセキュリティ事情のコラム2回目は、ベトナムと日本の治安状況に...
 皆さん、初めまして。ALSOKベトナムの安立(あだち)と申します。弊社はベトナムに設立されてから5年が過...

新着ニュース一覧

 日本政府は3日、令和8年秋の叙勲および外国人叙勲受章者を発表した。今回の叙勲では、日本とベトナムの...
 財政省傘下統計局(NSO)が発表した統計データによると、2026年1~10月期の輸出入総額(推定値)は前年同期...
 財政省傘下統計局(NSO)の発表によると、2026年10月の訪越外国人客数は前年同月比+7.0%増の185万4682人...
慣れない海外生活、急病や事故
何かあってからでは遅い!
今すぐ保険加入【保険比較サイト】
 ハノイ市ゴックハー街区(phường Ngọc Hà、旧バーディン区)に暮らすゴックさん(...
 財政省傘下統計局(NSO)の発表によると、2026年1~10月期の鉱工業生産指数(IIP)推定値は前年同期比+12.4...
 財政省傘下統計局(NSO)の発表によると、2026年10月の全国消費者物価指数(CPI)は前月比+0.20%、前年同...
 米経済誌フォーチュン(Fortune)と「働きがいのある会社」に関する調査・分析・支援を行うGreat Place T...
 国防省傘下の政府暗号委員会と同省傘下の携帯通信大手ベトナム軍隊工業通信グループ(ベトテル=Viettel...
 政府は、一般労働者向けの地域別最低賃金を規定する政令第399号/2026/NĐ-CPを公布した。同政令は...
 財政省傘下統計局(NSO)が発表したデータによると、2026年10月に全国で新規設立された企業数は前月比+8....
 鉄鋼大手で多角化路線を歩むホアファットグループ[HPG](Hoa Phat Group)
 国内最大手の格安航空会社(LCC)ベトジェットエア[VJC](Vietjet Air)の202
 財政省傘下統計局(NSO)によると、2026年1~10月期の小売売上高(推定値)は前年同期比...
 デンマークの靴製造大手エコー(ECCO)のベトナム現地法人、エコーベトナム(ECCO Vietnam)が会社解散を決...
 地場のクルーズ船運航会社アテナグループ(Athena Group)は10月31日と11月1日の両日、東北部地方クアン...
トップページに戻る