ベトナムのセキュリティ事情(7):機械警備とは?

2015/10/24 06:00 JST配信

 皆さん、こんにちは。ALSOKベトナムの安立です。今回から数回に分けて、警備業界の中でも技術革新が最も進んでいる「機械警備」を説明します。

機械警備のイメージ

 皆さんは「機械警備」と聞いて、何をイメージされるでしょうか?

 警備ロボットでしょうか?

 それとも最近話題の「ドローン」を利用した警備でしょうか?

 はたまたウェアラブルカメラを装着したガードマンでしょうか?

 これら最先端の技術は、急ピッチで研究開発が進んでおり、ロボットもドローンも一部で実用化が始まっています。ウェアラブルカメラも、2020年の東京オリンピックが開催される頃には実用化されると思います。

 そもそも、日本での「機械警備」の歴史は、1960年代に始まったと言われており、既に50年もの歴史があります。

「機械警備」の定義

 まずは「機械警備」の定義から見ていきましょう。

 「機械警備とは、警備員・守衛や用務員を置かず、代わりに警備対象施設にセンサーを設置して建造物侵入や火災等の異常を機械で察知し、その発報を遠隔地で受信し、警備員が現場へ急行し初期対応をとる形態の警備業務のことを指す」。(Wikipediaより)

 ここで言う「センサー」には、様々なものがあり、以下に現在使われている主なものを列挙します。

・開閉センサー(マグネットスイッチ):窓やドアなどの開閉を磁石で感知するセンサー
・ガラス破壊センサー:ガラスの破壊を検知するセンサー
・振動センサー:壁や天井などの破壊を検知するセンサー
・空間センサー:人体から放射される遠赤外線を検知するセンサー
・赤外線センサー:赤外線が遮られることで侵入を検知するセンサー
・熱感知器:温度上昇で火災を検知する機器
・煙感知器:煙により火災を検知する機器
・ガス漏れ感知器:ガス漏れを検知する機器

 これらのセンサー・感知器を、オフィスや工場などの警備対象場所や物に設置し、警備会社の監視センターと回線でつなぐことで監視を行います。

進歩した各種センサー

 少し余談になりますが、上記の各種センサーの進歩は、試行錯誤の連続でした。初期の振動センサーには、窓を叩いただけで感知するものがあったり、空間センサーには、小動物を感知したりFAXが動作しただけで発報する(警備業界では「誤報」と呼びます)ものもありました。発報のたびに警備会社は現場へ急行する必要がありますから、誤報の多さは警備会社の悩みのタネでした。

 現在は、ガラスが破壊される際の振動(他の振動とは周波数が異なる)だけを感知出来るようなセンサーや、動きの速い小動物は検知しないように感度を調整出来るセンサーも開発されています。

機械警備のメリットとデメリット

 「機械警備」にもメリットとデメリットがあります。

 まずメリットは、警備員を常駐させる必要が無いので人件費を削減出来ることです。また機械による監視のため、人間の目による見逃しやミスが発生しにくくなります。更に機械は24時間休みなく働いてくれます。

 デメリットは、警備開始時にセンサーや通信回線などを設置するための初期投資がかかることです。また、現在でも「誤報」を100%無くすことは出来ません。センサーや感知器の感度や精度によって「誤報」発生率は上下します。

 では、次回以降、ベトナムにおける「機械警備」の活用事例について説明します。

著者紹介
安立 光孝 (あだち みつたか)

ALSOK (VIET NAM) CO.,LTD  代表取締役社長

コンピュータメーカーで17年間システムエンジニアとして従事。製造業における生産管理システムやファクトリオートメーションシステムの構築を担当。1998年から4年間、米国シリコンバレーに駐在し、ITセキュリティのベンチャー企業を発掘、日本市場への参入を支援。2007年に綜合警備保障株式会社(ALSOK)入社。新規事業の「情報警備」事業を立ち上げ、2014年4月より現職。

ウェブサイト:https://www.alsok.com.vn/

ベトナムにおけるセキュリティー事情
その他の記事はこちら>
[2015年10月24日 ベトジョーコラム A]
※VIETJOは上記の各ソースを参考に記事を編集・制作しています。
© Viet-jo.com 2002-2025 All Rights Reserved 免責事項

この記事の関連ニュース

 皆さん、こんにちは。ALSOKベトナムの安立です。  これまでベトナムのセキュリティ事情について書...
 皆さん、こんにちは。ALSOKベトナムの安立です。  前回までは、オフィスや工場で発生する窃盗への...
 皆さん、こんにちは。ALSOKベトナムの安立です。  今回は、内部不正について書く予定でしたが、予...
 皆さん、こんにちは。ALSOKベトナムの安立です。  今回は、「防止」の観点から、工場やオフィスの...
 皆さん、こんにちは。ALSOKベトナムの安立です。  前回(工場のセキュリ
 皆さん、こんにちは。ALSOKベトナムの安立です。  前回、ベトナムの工場は、「隙あらば」と狙って...
 皆さん、こんにちは。今回から数回にわたって工場のセキュリティについて考えてみたいと思います。 ...
 皆さん、こんにちは。ベトナムにおけるセキュリティ事情のコラム2回目は、ベトナムと日本の治安状況に...

新着ニュース一覧

 2025年大阪・関西万博のベトナムパビリオンが、南部解放・南北統一50周年(1975年4月30日~2025年4月30...
 ベトナム共産党トー・ラム書記長は4日、私的経済(民間セクター)の発展を促進する政治局の決議第68号-NQ...
慣れない海外生活、急病や事故
何かあってからでは遅い!
今すぐ保険加入【保険比較サイト】
 地場CTグループ(CT Group)傘下のCTセミコンダクター(CT Semiconductor)はこのほど、東南部地方ビンズオ...
(※本記事はVIETJOベトナムニュースのオリジナル記事です。) ロンドン:歌謡曲でムードたっぷり、街角...
 ベトナムIT最大手FPT情報通信[FPT](FPT Corporation)は5日、ドイツのエネ
 ラオス・ベトナム国際港(Lao Viet International Port)はこのほど、北中部地方ハティン省キーアイン郡...
 地場系コングロマリット(複合企業)ビングループ[VIC](Vingroup)傘下の電
 日本とベトナムのリソースを活用したハイブリッドなシステム開発を行う株式会社ハイブリッドテクノロジ...
 ファム・ミン・チン首相は5日に開催された第15期(2021年~2026年任期)国会第9回会議の開幕式で、ベトナ...
 ルオン・クオン国家主席はハノイ市の国家主席府で5日、ベトナムを公式訪問中のスリランカのアヌラ・ク...
 国家交通安全委員会によると、4月30日の南部解放記念日と5月1日のメーデーに伴う4月30日から5月4日まで...
 ベトナム国家観光局のデータ(速報)によると、4月30日の南部解放記念日と5月1日のメーデーに伴う4月30日...
 住友商事株式会社(東京都千代田区)は、同社100%子会社のバンフォン・パワー(Van Phong Power)の出資持...
 西日本鉄道株式会社(福岡県福岡市)は、地場不動産大手のナムロン投資[NLG]
トップページに戻る