- 前年の1000万USDから8倍増
- AIがデジタル経済成長を牽引
- IT・金融・教育分野でAI導入進む
ベトナムの人工知能(AI)産業が急速に成長している。2024年におけるAI企業への投資額は前年比8倍の8000万USD(約122億円)に大きく跳ね上がった。これは、ベトナムソフトウェア協会(VINASA)が9日に開催した「ベトナムAIフォーラム2025」で発表されたもの。
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ベトナム国家大学ハノイ校(ハノイ国家大学=VNU-HN)傘下の情報技術研究所が同フォーラムで発表した報告によると、AIはベトナムのデジタル経済成長を牽引する主な要素となりつつある。特にAI導入が進む業界としては、◇情報技術(31%)、◇金融・銀行(22%)、◇教育(17%)、◇電子商取引と医療(15%)などが挙げられる。
AI活用需要の成長率が最も高い5分野は、◇金融(26%)、◇教育(23%)、◇製造業(21%)、◇医療(16%)、◇交通(15%)となっている。
一方で、インフラ不足や高品質データの欠如、資金難などが大きな障害となっている。また、ユーザーや組織はセキュリティ面のリスクを懸念しており、AI開発と活用の間では、依然として大きな隔たりがあるとの指摘が上がった。
専門家らは、ベトナムが研究・開発・応用に関するAI推進策を整備すべきと提言した。具体的には、◇研究支援基金の設立、◇国家データベースの共有・活用促進、◇AI人材育成の質の向上などが挙げられる。
VINASAは今後、AI能力成熟度フレームワーク「STAIR(Strategic Transformation & AI Readiness)」を公表する予定で、企業が自社のAI導入度を自己評価し、戦略的方向性を定めるためのツールとなる見込みだ。
なお、オックスフォード・インサイツ(Oxford Insights)とカナダの国際開発リサーチセンター(International Development Research Centre=IDRC)が協力して世界193か国・地域を対象に調査した「2023年の各国政府のAIへの備え度指標(Government AI Readiness Index 2023)」によると、ベトナムのスコアは54.48となり、3年連続で世界平均を上回った。
また、世界的な市場調査ネットワークであるWIN(Worldwide Independent Network of Market Research)が先般発表した「世界のAI指数(WIN World AI Index)」によると、ベトナムのAI指数は世界平均を上回る59.2点となり、世界40か国・地域中6位となった。