- 当局が国際クルーズ船の受け入れ停止指示
- アジアの航路からベトナムが外れる可能性
- クルーズ船の暫定寄港を認めるよう要請
米国のクルーズ大手ロイヤル・カリビアン・グループ(Royal Caribbean Group)が運航する、外国人観光客4000人超を乗せた国際クルーズ船「オベーション・オブ・ザ・シーズ(Ovation of the Seas)」が、18日に予定していたホーチミン市のカイメップ・ティバイ深水港への寄港を中止する可能性が浮上している。
![]() (C) plo |
当局が国際クルーズ船の受け入れ停止を指示したことが背景にあり、観光業界では「アジアの航路からベトナムが外れる可能性がある」と危機感が広がっている。
カイメップ・ティバイ深水港の埠頭は、総合貨物、コンテナ、ばら積み貨物、液体・ガス貨物用として計画されている。この計画には、クルーズ船などの旅客船を受け入れる機能は含まれていない。クルーズ船専用の埠頭は旧バリア・ブンタウ省(7月にホーチミン市に合併)ブンタウ市に配置される計画だが、建設には至っていない。
大型クルーズ船は喫水が深く、南部ではカイメップ・ティバイ深水港が唯一技術基準を満たしているため、これまで同港が暫定的にクルーズ船を受け入れてきた。
ロイヤル・カリビアン・グループは、ベトナム当局に宛てた文書の中で、同港のクルーズ船受け入れ停止措置により、アジアの航路からベトナムを外さざるを得なくなる可能性があると警告した。
同社は、「一度寄港地から外すと、再び航路に戻すまでに約3年を要する」と説明し、同港への大型クルーズ船の暫定寄港を認めるよう求めた。
現時点で、2025年末までに約20便のクルーズ船が同港に寄港する予定だ。さらに2026年末までには、約120便・26万人超の外国人観光客が寄港する予定となっている。
こうした事態を受け、ホーチミン市観光局は、同市人民委員会と関係機関に対し、2026年12月まで国際クルーズ船の受け入れを継続するよう提案した。同局は、寄港を中止すれば観光収入の損失だけでなく、ホーチミン市および南部地域の国際的なイメージにも打撃を与えると警告している。
なお、ロイヤル・カリビアン・グループはベトナムに最も多くの観光客を運んでいるクルーズ会社で、2024年には80便がベトナムに寄港した。