2日深夜、ホーチミン市8区1街区ケンサン橋付近で2歳の男児がタクシー内に置き去りにされた事件で、このほど実母と名乗る女性が姿を現した。女性は4区在住のホー・ティ・トゥー・バンさん(22歳)で、男児を置き去った本人だということが確認された。
(C) thanhnien 男児の実母のバンさん |
(C) thanhnien 置き去りにされた男児 |
男児をタクシー内に置き去りにした理由についてバンさんは、「事件前日に夫と激しい口論となり、子供を連れて家出した。ミルクを買うためのお金が無くなったので、仲直りしてお金を貰うため何度も夫に電話をかけたが、連絡が取れなかった。夫側の家族から、子供が夫の実子ではないと疑われていたこともあり、判断力が鈍っていた」と涙ながらに語った。
男児を置き去りにしてから3日が経った5日、バンさんは同市ビンチャイン郡で友人らとパーティーに興じていたところを警察に立ち入り検査され、麻薬検査で陽性反応が認められた。身分証明書なども所持していなかったため、あえなく御用となり、そのまま同市ホックモン郡の麻薬厚生施設に収容された。
バンさんと男児の父親であるディン・ザー・トゥアンさん(41歳、4区在住)は、入籍はしていないものの一緒に暮らしており、置き去りにされた2歳の男児と生後6か月の乳児の2人の子供がいるが、どちらも出生届けは提出されていない。バンさんは12日に麻薬厚生施設を出所したが、DNA検査などを行い母子関係が証明されなければ男児を引き取ることはできないという。
男児の置き去り事件がマスコミで大々的に報じられると、男児の遠い親戚(男児の実母の叔母の夫)に当たる50代の男性が、男児の世話をしている8区1街区人民委員会に駆けつけて男児を引き取りたいと申し出た。男性は何度も役所に足を運び、男児の写真や玩具、健康診断書などを持ち込んだが、親族関係を証明する合法的な書類(戸籍謄本や出生届けなど)を提示できなかったため、引き取りを断られた。
男性によると、男児の名前は「ボー」で、生まれてから最近までずっとこの男性夫婦が面倒を見ていたが、男性が入院することになったため、東南部バリア・ブンタウ省に住む父方の家族に世話をしてもらっていたという。男性は、ボーちゃんが置き去りにされたニュースをテレビで見て初めて事件のことを知ったと話した。
なお、役所で男児の世話をしている8区1街区委員会は、規定に基づき労働傷病兵社会当局の保護施設へ男児を移管する手続きを完了している。