南中部ビンディン省アンラオ郡アンクアン村は「自殺の村」として知られている。特に少数民族のフレ族が大半を占める同村第3集落では毎年自殺者が続出し、この5年間で同集落約80世帯のうち25世帯に自殺者が出る異常事態となっている。
今年最初の自殺者はアンクアン村人民委員会主席の母親ディン・ティ・ギエムさん(70歳)で、家族の留守中に殺虫剤を飲んで自殺した。この数日後には、同村の警察官ディン・バン・ティエットさん(24歳)が首吊り自殺をしている。また4月末には、同村共産党村委員会副書記のディン・バン・フンさんも首吊り自殺した。これらの3人はいずれも教育水準が高く、貧困や病気に悩まされているわけでもなく、家庭にも仕事にも特に問題がなかったが、そろって自殺前に飲酒していたことが分かっている。
この村では10年ほど前までは毒を持つ植物の葉を自殺に用いることが多かったが、最近では殺虫剤がこれに取って替わっており、直近の11件の自殺のうち7件で使用されている(残りの4件は首吊り)。
アンラオ郡警察のグエン・ズイ・アイン副署長は、自殺者のほとんどが泥酔状態で自制心が働かない状態だったと指摘、自殺を減らすには飲む機会を減らすとともに、将来への希望や自尊心を持たせるための教育・宣伝活動を行う必要があると話している。