商工省は先ごろ開かれたエネルギー利用をテーマとした会合で、「ベトナムの工業生産は主に再生不能エネルギーに依存しており、そのうえ非効率なエネルギー利用で資源を枯渇させつつある」と指摘した。ベトナムではエネルギーの80%を化石燃料から得ており、工業・建設・運輸の各産業で浪費されているという。
国内の火力発電所のエネルギー効率は28~32%で先進国よりも10%低く、工業用ボイラーのそれも60%で世界平均より20%も低い。また、鉄鉱石から1トンの鉄鋼を生産するのに必要とするエネルギーは、ベトナムが1130万~1300万キロカロリーであるのに対し、先進国ではわずか400万キロカロリーに過ぎない。同量の工業製品を生産するのに要するエネルギーも、ベトナムはタイやマレーシアの1.5~1.7倍多い。
商工省は、今後代替エネルギーを利用するビジネスを奨励する優遇政策を整備していく必要があるとしているが、実際の例をみるとその実現は簡単ではなさそうだ。ホーチミン市ビンタン区のごみ処理施設ではごみから産出されるガスで電力を生産しているが、ベトナム電力グループ(EVN)が1キロワット当たり4米セント(約3.7円)という安値で買い取っているため、同様のプロジェクトのインセンティブにはなっていないのが現状だ。