河川や湖沼などに生息するワニは、非常に鋭い歯を持ち、獲物を狙う凶暴な捕食者だ。メコンデル地方アンザン省に住む9X世代(90年代生まれ)の青年は、そんな凶暴なワニの肉を干物にして一旗揚げる方法を思いついた。
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ファム・チー・ティエンさん(27歳)はこの2年、ワニの干物の生産施設を作るために投資してきたという。以前はワニ革生産の仕事に従事していたが、ワニ肉については関心がなかった。しかし、ある日のことだ。とある顧客がワニ肉には、豊富な栄養成分が含まれているので、食用に乾燥加工してみてはどうかと提案してくれた。
ワニ肉の干物は、まだだれもやっていないことだったので、タインさんは挑戦してみることにした。最初は顧客の注文に応じて少量の生産から始めたが、顧客の反応が良かったため、本格的な生産体制を整えるべく、設備に投資した。
ティエンさんは、「ワニ肉は既に市場に出回っていますが、消費者はワニが持つイメージから恥ずかしがって購入しません。でも、ワニ肉は高たんぱくの上、低脂肪、低カロリー、栄養価もたっぷりの食材なんです」と語った。
ワニ肉の干物の生産は手作業で行う。洗練された技術が求められるわけではないが、新鮮な肉を使わなければならない。ワニ肉フィレから脂肪を取り除き、きれいに洗った後、型に入れて四角くし、最後に7~8時間ほど天日干しして、袋詰めで出荷する。生産過程で調味料などは一切使用しない。
新鮮なワニ肉7kgから生産できる干物は1kgのみ。メコンデルタ地方の消費者は、まだワニ肉を食べることに対して抵抗があるため、主な出荷先はホーチミン市だという。ティエンさんは、ワニ肉の干物ビジネスで毎月2億~3億VND(約93万~140万円)の収益をあげており、地元の雇用創出にも一役買っているという。