「カフェ・バザン」若き社長の修行の日々

2008/06/01 08:19 JST配信

 「ここで何とかしなければ、あとは飢え死にするだけ。そんな気持ちだった」。ファム・チョン・ギアは自身のコーヒーブランド「カフェ・バザン」立ち上げ時のことをそのように語った。

 彼の住む東南部タイニン省はコーヒーにまったく縁がなく、国内では「バンメトート」ほど有名な産地はなかった。そんな中コーヒー豆を購入して加工・販売すると言い出した彼に、友人や家族は皆反対した。しかし「コーヒーのおいしさに決まった物差しはない。人の好みはさまざまだ。自分の作るコーヒーがおいしければ、失敗を案じることはない」と言って押し切った。

 コーヒー豆加工については、専門店で働いている間に学んだつもりだった。こつこつ貯めた資金と友人から借りたお金で起業した。1回目の加工は完全に失敗、2回目は黒こげ、3回目はまずまずだったが、5回目でもまだ販売できる代物ではなかった。1回に付き20キログラムのコーヒー豆を加工する。すでに借金が山になっていた。そして6回目になってようやく思っていたようなコーヒーに仕上がった。が、喜んだのもつかの間だった。「各カフェのオーナーははじめ同情からか20キロ引き受けてくれた。勇んでまた20キロ持って行くと、前の分を返品されて結局40キロ持ち帰るはめになったりもした。泣きたい気分だったよ」

 膨大な借金を抱え疲れ果てていたが、戦い続けないわけにはいかなかった。勉強し直そうとバンメトートに修行に行くことに決めた。しかし受け入れ先はなかなか見つからず、10日間探しまわってようやく大きなコーヒー工場で学ばせてもらうことができた。「もう失敗はできない」。一からやりなおす気持ちだった。彼は時間の合間をぬって大学で経営学も学び始めた。

 今では「カフェ・バザン」はタイニン省をはじめ、ホーチミン市、メコンデルタ地方、中部のいくつかの省で、ひと月当たり合計10トン以上が消費されている。年内に東南アジア市場への輸出も予定している。そもそも「バザン」という名前は海外に売り出すことを意図したブランド名だった。「外国の人にも高原のコーヒーのイメージを呼び起こし、読みやすくて覚えやすいことを狙った」。

 29歳の若き社長ファム・チョン・ギアは今も大学で学んでいる。かつて勉強したくてもできなかった日々を埋めるように。「経営は、自分だけがもうければよいのでなく、皆がともに勝者になるようにしなくてはいけない。消費者を満足させ、農民から作物を高く買い取り、社員には十分な給料を払うことができるように」。それを実現するため、彼は熱心に学び続けている。

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