ベトナムの「パパ活」の実態に迫る【後編】シュガーベイビーの素顔

2020/08/30 05:05 JST配信

偽装された売春

(C) tuoitre
(C) tuoitre

 こうしたシュガーベイビーとシュガーダディーの関係について、専門家は「偽装された売春」だと指摘する。

 国家行政学院ホーチミン校の講師である社会学博士・心理療法学修士のファム・ティ・トゥイ氏は、「養父(ba nuoi)」や「養子(con nuoi)」という言葉を利用して「クリーンさ」で覆い隠しているものの、これは紛れもなく売春だと指摘する。

 以前は小規模だったが、今ではオンライン広告などで目にすることも多く、夫が「シュガーダディー」をしていると知った妻や、娘が「シュガーベイビー」をしていると知った親などから相談を受けることも増えたという。

 中には、嫉妬で暴力を受けたり罵倒されたり、学業を諦めざるを得なくなったり、望まない妊娠をしたり、生んだ子供を他人に引き渡したりするシュガーベイビーもいる。

 シュガーベイビーとシュガーダディーの現象が生まれる原因として、道徳の問題に加えて、シュガーベイビーの道を選択する女性たちに、お金や学業の悩み、家族との関係、不安定な精神状態、失恋など様々な問題を抱える人が多いこともある。

 一方、男性がシュガーベイビーを求めるのは、性的欲求を満たすために喜んでお金を使うということがある。シュガーベイビーとシュガーダディーの問題は、単なる道徳や腐敗、違法ビジネスというよりも、より広範な社会現象に起因しているといえる。

 また、弁護士のドー・チュック・ラム氏もまた、お金と物質的な利益と引き換えに性的な行為を行うことは、法律的にも売春にあたると指摘する。

 売春防止法では、売春・買春・仲介を行った違反者は刑事罰の対象となり、少なくとも6か月から3年の禁固刑を受けることになる。また、相手が18歳未満だった場合は少なくとも1年から5年の禁固刑、さらに複数回または複数人と関係を持った場合は最長で15年の禁固刑となる。

 このほかにも、シュガーダディーがシュガーベイビーの性的な動画を撮影し、これを利用して脅したり、性奴隷にしたり、家族の幸せを壊したりする危険性もある。

 一方、シュガーベイビーがシュガーダディーの秘密をばらすと脅して財産を奪ったりするケースもあるのが現実だという。

 実際に5年以上シュガーベイビーとしてホーチミン市や東南部地方ビンズオン省のお金持ちを相手にしてきたHさん(27歳)は、今やアルコールに依存し、男性に拷問され、性感染症に苦しみ、10歳も上に見えるほど老け込んでいる。

 Hさんによると、5年間で会った男性の中にはきちんとした身なりをしながらも、ベッドの上では不健全という人もたくさんいた。友人たちもシュガーベイビーの道を選んだが、いずれも後に性感染症やアルコール依存症、薬物依存症、うつ病に苦しんだ。そして多くが貧しい売春婦となり、逃げるために借金を負い、法律を犯した。

 そしてHさんは、「わずかなお金を手軽に得るためにシュガーベイビーになる子たちは、後々使い古されてぼろぼろになり、貧しくなり、借金を負って不安定な生活を送るだけで、自分の身体を売ってお金を得て、『人生を変えた』子なんて見たことがありません」と語った。

前へ   1   2   3   4   次へ
[Tuoi Tre 10:42 18/08/2020, 10:54 17/08/2020, 11:39 16/08/2020, A]
※VIETJOは上記の各ソースを参考に記事を編集・制作しています。
© Viet-jo.com 2002-2025 All Rights Reserved 免責事項

この記事の関連ニュース

 ハノイ市バーディン区警察はこのほど、複数の売春客から金銭を奪ったとして、D・T・Q容疑者(女・17歳)...
 ホーチミン市警察刑事警察部(PC02)は22日、いわゆるパパ活(シュガーベイビー・シュガーダディー:sugar...
 「僕のシュガーベイビーになって!良い関係が続けば、君は君が欲しいものを何でも手に入れられる。僕を...

新着ニュース一覧

 東南部地方ドンナイ省ディンクアン村のスオイコー地区に面するチアン湖では、カンボジアから帰国した越...
 北部紅河デルタ地方ニンビン省ザーバン村にあるランバン(Lang Van)教区は8日、約10年の建設期間を経て...
 世界中の伝統料理などを紹介するグルメサイト「テイストアトラス(TasteAtlas)」はこのほど、2025年版「...
慣れない海外生活、急病や事故
何かあってからでは遅い!
今すぐ保険加入【保険比較サイト】
 世界最大の旅行プラットフォーム「トリップアドバイザー(TripAdvisor)」は、世界6か国(米国、英国、フ...
 国会は11日、ホーチミン市に自由貿易区を設立して投資を誘致し、地域経済の中心地とするための特別制度...
 国会は10日、改正刑事判決執行法および拘留・勾留・居住地制限措置に関する法律を含む、司法に関連する...
 国会は10日、◇汚職防止法の一部を改正・補足する法律、◇改正国会・人民評議会監視活動法、◇国民対話法...
 財政省傘下統計局(NSO)が発表したデータによると、2025年1~11月期に全国で新規設立された企業は前年同...
 韓国の製薬会社である緑十字ホールディングス(GC Holdings=GC)はこのほど、ハノイ市で健康診断施設「G...
 ベトナム自動車工業会(VAMA)の発表によると、2025年11月におけるVAMA加盟企業とVAMA非加盟企業を合わせ...
 国会は10日、◇改正民間航空法、◇改正建設法、◇改正計画法の交通・インフラ関連の法律3本を可決した。 ...
 国会は10日と11日、社会・経済分野に関する14本の法律を可決した。可決された法律は以下の通り。 ◇...
 国家証券委員会(SSC)は10日、財政省が「暗号資産取引市場管理委員会」を設立したと発表した。同委員会...
 国会は11日、北部紅河デルタ地方バクニン省で計画されているザービン国際空港建設プロジェクトの投資方...
 日本の環境省は、ベトナム農業環境省とコ・イノベーションのための透明性パートナーシップ(PaSTI)を通...
トップページに戻る