「おしん」からプリザーブドフラワー職人に、50歳を前に起業したベトナム人女性

2021/06/27 10:39 JST配信

 ちょうど同時期、ベトナムにいる夫から母親が亡くなったという知らせを受け取った。「涙で目がかすみ、手紙を全部読み終えるまでに5回も読み返しました」とベトさん。ベトさんがタイで仕事を続けていられたのは、故郷で子供や年老いた母親、そして病気の妹の世話をしてくれていた夫のグエン・チョン・ウエンさんのおかげだった。

 「当時、田舎では海外に働きに出る人がほとんどいなかったので、皆が私を哀れみの目で見ていました。でも、どんな時も私たち夫婦は将来を信じ、私は妻を応援していました」と夫のウエンさんは語る。以前、長きにわたり生花の生産・販売をしていたベトさん夫妻は、顧客のニーズを把握する経験に長けていた。

 ベトさんは2006年に故郷ベトナムに帰り、2000万VND(約9万7000円)余りを投じて起業した。「プリザーブドフラワーの材料は海外から輸入する必要がありますが、素材となる花はベトナム産がとても美しく、種類も豊富です」とベトさん。材料の調達や市場の調査に2年を費やし、ようやくベトさんはベトナムのプリザーブドフラワー業界に乗り出した。

 広さが10m2以上もある大きな木製のテーブルの上で、最初に赤いバラの花5本のプリザーブドフラワーを制作した。ベトさんはバイクでタインホア市内のとある店に向かい、制作したプリザーブドフラワーの販売を手伝って欲しいと依頼した。プリザーブドフラワー1本につき16万VND(約780円)で販売し、このうち7万VND(約340円)を店に支払った。1か月後にベトさんがその店を訪れると、驚くことに商品はとっくに売り切れていた。

 プリザーブドフラワー1本あたりの値段は決して安くないが、それでも購入する人がいるということがわかり、ベトさんは市場を拡大していくことに決めた。商品を持ってハノイ市や北中部地方ゲアン省、東北部地方クアンニン省ハロン市などを回り、販売した。

 最初の1か月は数十本のプリザーブドフラワーを制作して売り切ると、次は数百本を制作した。現在では毎月5000本ものプリザーブドフラワーを市場に卸しており、ベトさん夫妻のプリザーブドフラワー事業の収入は年平均10億VND(約485万円)を超えている。

 「竹林を歩いているだけでは、自分の限界を知ることはできなかったでしょう。多くの人は、50歳で人生の半分が過ぎたと言いますが、私はそのタイミングで起業しました。確実に言えるのは、情熱と決意さえあれば、何かを始めるのに遅過ぎることはない、ということです」とベトさんは語った。

前へ   1   2   3   次へ
© Viet-jo.com 2002-2026 All Rights Reserved 利用規約 免責事項

新着ニュース一覧

 ベトナムの株式市場が21日付けで、インデックス開発大手の英FTSEラッセル(FTSE Russell)による市場分類...
 ベトナムで18日、米アップルの「iPhone 18」シリーズが発売され、全国の主要販売店で初日に数万台が事...
 インドの旅行雑誌「トラベル・アンド・ツアー・ワールド(Travel And Tour World=TTW)」が先般発表した...
慣れない海外生活、急病や事故
何かあってからでは遅い!
今すぐ保険加入【保険比較サイト】
 南中部地方クアンガイ省には、かつてソビエト連邦(ソ連)から寄贈されたヤシ林がある。企業からヤシ林を...
 英国タイムアウト誌(Time Out)は16日、毎年恒例の「世界で最もクールな街トップ40(The 40 Coolest Neig...
 建設省は、外国の組織および個人の住宅所有権に関する規定の見直しを進めている。住宅法改正案で、外国...
 再生可能エネルギー事業を手掛けるイーレックス株式会社(東京都中央区)は、ベトナムの石炭火力発電所で...
 日本全国で「イオンシネマ」を運営するイオンエンターテイメント株式会社(東京都港区)などが出資するイ...
 不動産開発を中核とする民間複合企業ビングループ[VIC](Vingroup)傘下の
 韓国の教育企業であるハンエデュテック(Han Edutech)内のOK-TEST職業韓国語能力試験委員会はこのほど、...
 地場タクシー大手のビナサンタクシー[VNS](Vinasun)はこのほど、不動産開
 政府は9月3日付で、外資系投資家および外資系経済組織の物品売買・関連活動を規定する政令第342号/2026...
 地場のフィットネスチェーン大手であるシティジム(Citigym)は、全社的な事業再編に伴い、10月1日付けで...
 不動産開発を中核とする民間複合企業ビングループ[VIC](Vingroup)系の電
 日本政府観光局(JNTO)が発表した統計(推計値)によると、2026年8月の訪日ベトナム人数は前年同月比▲7.5...
トップページに戻る