ろう者の男性と両脚を失った女性、他人同士の2人が共に生きるわけ

2024/07/07 10:16 JST配信

 2人は資源回収で得る利益と、ガーさんが毎月受け取る労災手当で日々の生活を賄っている。この何十年もの間、カムさんはガーさんの脚となって、ガーさんの車椅子を押して仕事に出かけ、日常生活の手助けをする。一方のガーさんは、指文字や読唇を使って、カムさんが他の人と会話する時に通訳している。

(C) tuoitre
(C) tuoitre
(C) tuoitre
(C) tuoitre
(C) tuoitre
(C) tuoitre

 「カムさんは、今までに故郷や親戚を探したいと思ったことはあるか?」という問いに対し、カムさんに代わってガーさんが答えるが、回答はあいまいだ。なぜなら、ろう者で非識字者でもあるカムさんにとって、故郷というのは時に、言葉にならないノスタルジーであり、幻想のようなものでしかないからだ。

 おそらく、カムさんの意識としては、ガーさんが唯一の身内のような存在となっているのだろう。そしてカムさんの心の故郷は、雨の日も晴れの日も長きにわたり自分に代わって通訳し、幸せな時には愛情深く自分を見つめ、困難な時には自分を助けてくれるガーさんの声そのものなのだ。

 背中が曲がり、口元にいつも穏やかな微笑みを浮かべているカムさんは、実の兄妹のようなガーさんとの生活に心から満足しているようだ。

 時が経ち、2人は高齢になったが、ガーさんとカムさんの物語は、現実と思考に長年刷り込まれてきた「女性」だ「男性」だという固定観念、そして本能論や「(男女間の)無条件」といった概念すらも打ち破った。彼らは夫婦でもなく、完全な他人でもなく、まるで実の兄妹のような関係なのだ。

 若かりし頃から現在まで30年以上を一緒に過ごし、2人はすっかり白髪混じりの髪になった。「そんなこと気にしません。それが人生ですから。理由なんてなくても、お互いを頼りにして面倒を見合って、どこに行くにも一緒、それでいいんです」とガーさんは語る。

 2人の物語は、人生とは奇妙であり、奇跡なのだということを教えてくれる。彼らを見ると、神様は公平で、誰のことも1人きりにはしないのだとわかる。現代の言葉で言うならば「理解し、愛する」という、至極シンプルなことなのだ。

前へ   1   2   3   次へ
© Viet-jo.com 2002-2026 All Rights Reserved 利用規約 免責事項

新着ニュース一覧

 日本全国893市区町村をカバーする地域情報プラットフォーム「まいぷれ」の運営を手掛ける株式会社フュ...
 KDDI株式会社(東京都港区)と携帯通信大手のベトナム郵便通信グループ(Vietnam Posts and Telecommunica...
慣れない海外生活、急病や事故
何かあってからでは遅い!
今すぐ保険加入【保険比較サイト】
 太陽光パネル製造事業などを手掛けるAbalance株式会社(東京都品川区)は、北部地方フート省に設立した連...
 ホーチミン市の中心部には、築140年以上の給水塔が今も存在している。この建築物は、19世紀末にフラン...
 財政省傘下統計局(NSO)が発表した統計データによると、2026年4月単月の輸出入総額は前月から増加した。...
 政府はこのほど、ガソリンや石油などの一部品目に対する輸入関税を0%に引き下げる措置の適用期間を、6...
 海外販売向けコンサルティングなどを展開する株式会社ワサビ(大阪府大阪市)は、ベトナム現地法人「ワサ...
 5月に施行される新規定7本をまとめて紹介する。 1.家族内のジェンダー不平等の罰金引き上げ  ...
 ベトナムを訪問した高市早苗内閣総理大臣は2日、ハノイ市でチャン・タイン・マン国会議長と会談した。 ...
 ハノイ市人民委員会はこのほど、市内に合法的な持ち家がある場合でも、職場から20km以上離れている市民...
 韓国農林畜産食品省と韓国食品医薬品安全処はこのほど、韓国産加熱処理済み家禽肉のベトナム輸出に関す...
 東南部地方ドンナイ省人民評議会は、投資総額110兆VND(約6700億円)超となる3つの重要交通インフラプロ...
 2026年1~3月期の電子商取引(eコマース=EC)市場における主要4社の売上高は前年同期比で大幅に成長し、...
 東北部地方クアンニン省人民評議会は4月28日の第2回会議で、同省が第1級都市の基準を満たしたことを認...
トップページに戻る