ベトナムの人材事情(5):その候補者、本当に採用して大丈夫ですか?~職務経歴・給与交渉編~

2015/10/17 06:00 JST配信

 こんにちは、G.A.コンサルタンツの関です。少し間が空いてしまいましたが、前回に引き続き「その候補者、本当に採用して大丈夫ですか?」の続編ということで、今回はもう少し面談でお話する中身にフォーカスした内容についてお話したいと思います。

 なお、繰り返しになりますが、本内容につきましては私自身の主観に基づいたところがありますため、必ずしもここに挙がったからといって候補者の採用を否定するものではないことを付け加えてさせて頂きます。

その1:勤務期間が1年に満たないところがある

 ジョブホッピングを簡単にするというイメージが強いベトナム人候補者ではありますが、ひとまずの目安は大体3年程度としているようです。1年毎にバンバン転職をすると、その都度新しい職場環境に慣らしていかないといけないわけですから、それも難儀な話です。

 ですから1年以内に辞める、というのはベトナムでも特別な事例であると言えます。最も起り得るパターンとしては「同僚や上司と衝突した」、その他「違反を犯した」「横領を働いた」ために職場に居られなくなったという深刻なパターンもあります。

 一方、前向きな理由である場合も勿論あります。例えば「組織変更に伴い仕事が暇になった」「日本人上司がいなくなってベトナム人上司が管理するようになった」などといった類のものです。

 退職の際に人間の本質は現れるものです。その点から是非注視して頂きたいポイントであります。

その2:現在給与の証拠提出に非協力的

 高給を得たいと執着するあまり現在給与を高めに言わしめてしまう、世界のどこでも起こり得る話ですが、ベトナムではその頻度は高くなります。性善説に従って本人の出した数字を信じてあげたいところですが、これが市場の相場と少しずれている場合や、月給1000USD(約12万円)を超えるような管理職クラスの場合には裏を取った方が賢明でしょう。

 そこでペイスリップ(Pay Slip=給与明細票)のような収入を証明する書類を提示してもらうよう伝えるのですが、その時拒否をしたり、何かと理由をつけて提出が難しいと言ってきたりと非協力的なケースがあります。ご想像の通り、このような場合は現在給与に下駄を履かせている可能性が高いです。

 そこから更に踏み込んで追及していくのですが、それでもなお意固地になって提出を拒むか、はたまた最終的には提出して「すいません、高めに言ってしまいました」と素直に謝るか、二つのパターンがあります。弊社では場合によっては後者を採用することもあります。

その3:過去の経歴を詐称している

 履歴書情報の真偽を実際面談の段階で見抜くことは困難です。職務内容を細かく聞いていった時に狼狽したり、はぐらかそうとしたりなど、わかりやすい場合はまだ良いのですが、詐称を平気でしてくるようなタイプの人間は意外と用意周到なものです。

 職位が高ければ高いほど、信頼関係は大事になってきますので、面談後に後でリファレンスチェック(既に退職済みの会社の中で一番直近の職場に連絡を行い、勤務期間や退職理由などを聞く手法)を行い面談時に聞いた話、履歴書上の情報との整合性を確認した方が良いでしょう。

最後に…

 如何でしたでしょうか?既に選考プロセスで取り入られている方も多いことかと思います。新たに試してみようと思うことが一つでも出てくるようでしたら幸いです。

 最後に完全に余談になりますが、過去立て続けに同性愛者(この場合ゲイ)を採用することがありました。男性・女性の良いところの両面を持ち合わせており、社内のコミュニケーション活発化には活躍してくれました。

 もし採用する機会がありそうでしたら、「はい、採用して大丈夫です」とオススメをさせて頂きます。勿論能力的に採用基準を満たしていることは前提の上でですが。なお、クリエイティブ職に就く方に同性愛者が多い傾向にあるような気が致します。

 オススメしたい候補者というトピックの話となるとまた話が長くなってしまいますので、脱線し始めたこのあたりで筆を置きたいと思います。今回も最後までお読み頂いて有難うございました。

著者紹介
関 岳彦 (せき たけひこ)

G.A.Consultants Vietnam 代表
大学卒業後G.A.コンサルタンツへ入社。
2005年よりベトナム人の人材紹介を行うVieclamBank(ベクラムバンク)事業の立ち上げでベトナムへ駐在を開始。その後日本人のベトナム就職のためのブランドR-Vietnamを展開。
日本人求職者のキャリアコンサルティングを行う一方、ベトナム国内の日系企業のうち、累計500社超に及ぶ採用をサポート。現在はホーチミンを基点にハノイ、ジャカルタ、ヤンゴンのオフィス間を行き来する。
◇ベトナム人紹介サイト:vieclambank.com
◇ベトナムで働きたい日本人のためのサイト:r-vietnam.com


ベトナム人材事情
その他の記事はこちら>
[2015年10月17日 ベトジョーコラム A]
※VIETJOは上記の各ソースを参考に記事を編集・制作しています。
© Viet-jo.com 2002-2024 All Rights Reserved 免責事項

この記事の関連ニュース

 こんにちは、G.A.コンサルタンツの関です。前回の続編として今回は、リテンション(従業員の定着率向上)...
 こんにちは、G.A.コンサルタンツの関です。大分ご無沙汰しております。出だしから個人的なお話で恐縮で...
 こんにちは、G.A.コンサルタンツの関です。今回のタイトル「その候補者、本当に採用して大丈夫ですか?...
 こんにちは、G.A.コンサルタンツの関です。このコラムでは、ベトナム人材に関するお話を筆者の独断と偏...
 皆さん、こんにちは。G.A.コンサルタンツの関です。日頃弊社では、人材を紹介する立場から「どういった...
 初めまして、G.A.コンサルタンツベトナムの関と申します。私どもは2006年よりベクラムバンク(VieclamBa...

新着ニュース一覧

 カンボジア公式訪問を開始したチャン・タイン・マン国会議長は21日、カンボジアの首都プノンペンで、同...
 ベトナム共産党政治局・書記局は20日に開かれた会合で、政治局員・国会共産党連合会書記・国会議長在任...
 ワインの輸入販売などを手掛けるエノテカ株式会社(東京都港区)は11月25日、ホーチミン市1区のホーチミ...
慣れない海外生活、急病や事故
何かあってからでは遅い!
今すぐ保険加入【保険比較サイト】
 午後3時、ハノイ市ハイバーチュン区ファムディンホー街区在住のグエン・ゴック・クアンさん(男性・61歳...
 住商アグロインターナショナル株式会社(住商アグロ、東京都千代田区)は、ベトナムの農業資材販売会社で...
 ベトナム最大の企業管理職向けソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を運営するアンファベ(Anph...
 南部メコンデルタ地方カマウ省人民委員会は19日、ダムゾイ郡でダムゾイ・カイヌオック・チャーラー(Dam...
 ホーチミン市人民委員会は21日、12月の商業運転開始を予定している都市鉄道(メトロ)1号線(ベンタイン~...
 21日から23日までの日程でマレーシアを公式訪問中のトー・ラム書記長は21日、最高儀礼に則り盛大に執り...
 ドミニカ共和国を公式訪問中のファム・ミン・チン首相は現地時間20日、ルイス・ロドルフォ・アビナデル...
 米不動産サービス大手クッシュマン&ウェイクフィールド(Cushman & Wakefield=C&W)がこのほど発表した...
 南中部高原地方総合病院は19日、自宅で調理したヒキガエルの肉と卵を食べた児童2人が中毒を起こしたと...
 ベトナム国家大学ホーチミン市校(ホーチミン市国家大学=VNU-HCM)傘下の政策開発研究所が先般発表した...
 医療機関向けパッケージソフトウェアの製造・販売を手掛ける株式会社エクセル・クリエイツ(大阪府大阪...
 ハノイ市ナムトゥーリエム区の国立展示建設センター(1 Do Duc Duc, quan Nam Tu Liem, TP. Ha Noi)で、...
トップページに戻る