- 5月にベトナムの水産飼料事業から撤退
- 成長余地大きい市場と畜種に経営資源集中
- 水産飼料工場と水産技術応用センター閉鎖
米穀物大手カーギル(Cargill)は、2025年5月をもってベトナムの水産飼料事業から撤退した。米国のS&Pグローバル(S&P Global)と、カーギル・タイ(Cargill Thailand)およびカーギル・ベトナム(Cargill Vietnam)の水産栄養部門のゼネラルディレクター代行を務めるマクシム・ヒルベルト氏が明らかにした。
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今回の撤退は、成長余地の大きい市場と畜種への経営資源集中を図る長期戦略の一環となる。これに伴い、南部メコンデルタ地方ドンタップ省と同ロンアン省にある2つの水産飼料工場と、同ティエンザン省の水産技術応用センターを閉鎖する。ただし、ベトナムにおける動物栄養・健康関連事業は継続する方針だ。
カーギルは1995年にベトナムへ進出した。現在は国内に1500人以上の従業員を抱え、飼料や食品原料、農産物、加工食品など幅広い分野で事業を展開している。同社はこれまでにベトナムへ約1億6000万USD(約230億円)を投資し、畜産・水産用の飼料工場12か所を運営しており、年産能力は160万tに達する。
ビジネスデータを提供するベトデータ(Vietdata)によると、同社のベトナムでの売上高は2020年に17兆VND(約940億円)超となり、2021年には前年比+56%増、2022年はさらに+7%増の約28兆5000億VND(約1580億円)に達し、増収基調が続いた。
一方、税引後利益は2020年に約9400億VND(約52億円)、2021年に前年比+15%増の約1兆1000億VND(約61億円)に増加したが、2022年には同▲18%減の約8900億VND(約49億円)に減少した。
なお、ベトナムの水産飼料市場は競争が激化しており、タイ系畜産大手CPベトナム(CP Viet Nam)、インドネシア系ジャプファ・コンフィード・ベトナム(Japfa Comfeed Vietnam)、韓国のCJグループ(CJ Group)やスンジン・グループ(Sunjin Group)、台湾のユニ・プレジデント(Uni-President)など、外資系企業が多数参入している。
国内企業では、サオマイグループ[ASM](Sao Mai Group)やベトナムとオーストラリアの合弁会社マービン(Mavin)、グリーンフィードベトナム(GreenFeed Viet Nam)などが市場に存在感を示している。