タイ小売最大手セントラル、グエンキム家電を売却

2025/12/25 15:47 JST配信
  • 全株式をピコ・ホールディングスに売却
  • ベトナム事業の投資ポートフォリオ再編
  • 食品事業と商業不動産事業を中核に

 タイの小売最大手セントラル・グループ(Central Group)の小売子会社であるセントラル・リテール・コーポレーション(Central Retail Corporation)はこのほど、家電チェーン「グエンキム(Nguyen Kim)」を運営する地場NKT社の全株式を、地場家電量販企業ピコ・ホールディングス(PICO Holdings)に売却すると発表した。

(C) dantri
(C) dantri

 セントラル・リテールによると、売却額は3600万USD(約56億円)となる。ただし、過去の投資額との差から、2025年10~12月に約59億THB(約296億円)の一時損失を計上する見通しだ。

 セントラル・リテールは今回の取引について、ベトナム事業における投資ポートフォリオ再編の一環と説明している。経営資源を再配分し、運営効率の向上や出店スピードの加速、収益性の改善を図る。今後は、食品事業と商業不動産事業の2分野を中核に据える方針だ。

 グエンキムは1996年設立の家電量販店で、2001年には全国で21店舗を展開し、市場最大手に成長した。セントラル・リテールは2015年にNKT社の49%を取得した。当時、グエンキムは正規家電市場で約12%のシェアを握っていた。2019年には残る51%を約2兆6000億VND(約154億円)で追加取得し、完全子会社化した。

 しかしその後、携帯電話小売・家電小売最大手でミニスーパーを拡大中のテーゾイジードン投資[MWG](Mobile World Investment Corporation)が展開する家電販売店「Dien may XANH(ディエンマイサイン=グリーン家電)」の急拡大により、競争が激化した。ディエンマイサインは、店舗網の拡充と運営効率の高さを武器に市場を席巻し、グエンキムは次第に存在感を失っていった。

<2024年末時点の主要家電チェーンの店舗数>

 セントラル・リテールは2012年にベトナム市場へ進出した。現在は「ゴー!(GO!)」や「トップス・マーケット(Tops Market)」などを展開し、ベトナム最大の外資系小売企業となっている。2025年1~9月期のベトナム事業の売上高は約11億USD(約1720億円)で、前年同期比▲6%減となった。

 同社は2025年6月に公表した計画で、今後ベトナムで商業施設4~6か所、小売店舗12~15店舗を新規オープンする方針を示している。

 なお、ベトナムの家電・IT製品の小売業界は、◇MWG傘下のテーゾイジードン(The Gioi Di Dong)とディエンマイサイン、◇ IT最大手FPT情報通信[FPT](FPT Corporation)子会社FPTリテール[FRT](FPT Retail)傘下のFPTショップ(FPT Shop)、◇メディアマート(MediaMart)など、地場大手が市場をリードしている。

 また、韓国サムスン(Samsung)や米アップル(Apple)など、海外ブランドの販売代理店網も整備され、デジタル化と購買行動のオンライン化が加速している。

[Kien Thuc Dau Tu 22:37 23/12/2025 / Markettimes 23:01 23/12/2025, A]
※VIETJOは上記の各ソースを参考に記事を編集・制作しています。
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