禅僧ティク・ナット・ハンが帰国、70年間の使命終え故郷で静養へ

2018/11/02 06:15 JST配信

 ベトナム出身の禅僧で平和や人権運動家として広く知られるティク・ナット・ハン(ティック・ニャット・ハイン/Thich Nhat Hanh/釈一行)氏が10月26日、リハビリ療養の拠点としているタイのナコーンラーチャシーマー(Nakorn Ratchasima)から南中部沿岸地方ダナン市ダナン国際空港に降り立った。ハン氏は2017年半ばに9日間帰国しており、およそ1年ぶりの帰国となった。

(C) Tuoi Tre
(C) Tuoi Tre

 空港では北中部地方トゥアティエン・フエ省フエ市のバオラム(Bao Lam)寺から禅僧ティク・ザック・クアン氏率いる代表団がハン氏を出迎えた。ハン氏がバオラム寺の僧侶らに宛てた手紙には「私はこの身が尽きるまでの日々を、トゥーヒエウ(Tu Hieu/慈考)寺の師や弟子が揃う地で過ごすためにベトナムへ帰国することを決意した」と記されている。

 またハン氏は手紙で、「師に託された使命は70年間の活動を通して、その教えはトゥーヒエウ寺の継承者やベトナムの仏教徒、世界中へ広まった。命の輪が閉じつつある今、残る月日を師や弟子と共に過ごす時が訪れたと感じている」とも綴っている。

 ハン氏の教えや同氏とのエピソードを書いた「Dinh xuat ky nhan」の著者で学者のグエン・ダック・スアン(Nguyen Dac Xuan)氏は、ハン氏の帰国についてこう語る。「ベトナム国民なら誰もが余生は故郷で迎えたいと思うのと同じようにハン氏も使命を終えた今、師や弟子の元へ帰りたいのです。ハン氏の願いはとてもシンプルです。大きなお堂もお墓もいらない、ただ火葬して故郷の血に撒いて欲しい、そう願っているのです」。

 ハン氏は1926年にフエで生まれた。1942年にトゥーヒエウ寺で出家し禅僧となり、ベトナム戦争中には仏教指導者として人々の救済にあたった。 後に米国やフランスへ渡り、平和活動や瞑想指導に従事し、1967年にはノーベル平和賞の候補に挙げられた。

 ハン氏は2014年の脳出血の後遺症で言葉を発することはできないものの、健康状態は良好で専属スタッフが身の回りの介助をしている。この後、ダナン市内の海岸沿いのホテルに滞在してからフエ市で静養するとされている。

[Tuoi Tre 20:41 26/10/2018 / Tuoi Tre 19:06 30/10/2018, T]
※VIETJOは上記の各ソースを参考に記事を編集・制作しています。
© Viet-jo.com 2002-2025 All Rights Reserved 免責事項

この記事の関連ニュース

 ベトナム出身の禅僧で平和や人権運動家として広く知られるティク・ナット・ハン(ティック・ニャット・...
 南中部沿岸地方ダナン市の五行山観世音寺で10月30日、奈良・東大寺別当で華厳宗管長の狭川普門師ら日越...
 南中部カインホア省人民委員会はこのほど、中国との領有権問題が発生している南シナ海のチュオンサ諸島...

新着ニュース一覧

 米マイクロソフト(Microsoft)が発表した調査報告書「ワークトレンド指数(Work Trend Index)」2025年版...
 在ベトナム米国大使館は18日、巡視船「CSB8022」をベトナム海上警察に引き渡したと発表した。越米間の...
 宅配を手掛ける地場ゴゾ・エクスプレス(Gozo Express)は18日、地場系コングロマリット(複合企業)
慣れない海外生活、急病や事故
何かあってからでは遅い!
今すぐ保険加入【保険比較サイト】
(※本記事はVIETJOベトナムニュースのオリジナル記事です。) 【ロンドン編】はこちら 【パリ編】は
 最先端の機械学習テクノロジーを活用してモバイル資産を識別・評価・最適化する米国のラウンズ(Rounds)...
 サイゴンハノイ保険[BHI](Sai Gon-Ha Noi Insurance Corporation)は、韓
 ホーチミン市7区のサイゴンエキシビション&コンベンションセンター(SECC:799 Nguyen Van Linh, quan ...
 ベトナムは、ライチの生産量で中国に次ぐ世界2位となっている。  2025年の収穫量は約30万3000tで、...
 地場系コングロマリット(複合企業)ビングループ[VIC](Vingroup)傘下の電
 ハノイ市ノイバイ国際空港で、ベトナム人乗客による日本円の違法持ち出しが発覚した。税関当局が18日に...
 国内IT最大手のFPT情報通信[FPT](FPT Corporation)はこのほど、東南部地
 国会は18日、エネルギー使用効率化法の一部を改正・補足する法律を可決した。同法は2026年1月1日に施行...
 持田製薬株式会社(東京都新宿区)とMeiji Seikaファルマ株式会社(東京都中央区)は、持田製薬が日本で販...
 ベトナム発のITソリューション企業であるカオピーズ(Kaopiz、ハノイ市)と、東南アジア市場における医療...
 米グーグル(Google)と財政省傘下のベトナム国家イノベーションセンター(NIC)は18日、ベトナム国内での...
トップページに戻る