モン族伝統の正月をテトに統一?有識者らが文化消滅を危惧

2018/01/03 06:47 JST配信

 西北部地方ホアビン省マイチャウ郡パーコー村人民委員会が、少数民族であるモン族の伝統の正月をベトナムの旧正月(テト)に移行するとした文書第30号を交付し、文化研究機関に衝撃が走っている。

(C) thanhnien.vn
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 ホアビン省マイチャウ郡のパーコー村、ハンキア村と西北部地方ソンラ省バンホー郡のロンルオン村とバンホー村の計4村の合同会議で、4村に住むモン族の正月を2019年からベトナムのテトに移行すると決議されたという。

 文書第30号には、4村における規約の改正や補則などの事項が記載されており、その中で規約第5条で定められているモン族の正月をテトに移行統一するとしている。2019年以降は、テトの1か月前に祝われていたモン族の正月はなくなり、テトのみ祝われることとなる。

 パーコー村人民委員会のスン・アー・マン主席はモン族の正月のテトへの移行について、各村で意見聴取が行われたうえで決議されたもので、賛成が全体の95%を占め、反対派は学校へ行かず読み書きができない住民であるとしている。

 また、モン族の正月のテトへの移行理由については、第一に子供たちが学業に専念できるようにするため、第二に従来のモン族の正月休暇が経済発展の妨げになっているためだという。モン族の正月休暇では、住民らは1か月仕事をせずに家にいることから社会秩序の問題が発生するだけでなく、それに付随してあらゆる問題が生じることを受け、テトへの移行は熟慮断行とのことだ。

 一方で、有識者らはモン族の正月は保護対象に値する文化であり、テトへの移行はベトナムが批准する国連教育科学文化機関(ユネスコ)無形文化遺産の保護に関する条約に違反すると指摘している。また、ベトナムのテトを祝うことについては問題はないが、むやみにモン族の正月をなくすことは文化的権利の侵害にあたるとする意見も出ている。

 この度の正月の移行を認めることで、他にも独自の正月を廃止する民族や地域が現れ、保護すべき伝統文化が失われていくことも危惧されており、長期にわたる正月休暇が社会経済に支障をきたすならば、かつてキン族がそうしたように休暇を短縮するなどの策を取るべきだとする有識者もいる。

[thanhnien.vn 06:58 25/12/2018, T]
※VIETJOは上記の各ソースを参考に記事を編集・制作しています。
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