ハノイ:退役軍人の自警団、300件以上の犯罪を摘発―大晦日も休まず出動

2020/01/11 05:18 JST配信

 ハノイ市タインスアン区クオンマイ街区(phuong Khuong Mai)は、一見すると何の変哲もないごく普通の街角だが、犯罪者にとっては“魔の区画”となっている。ここで市民の金品に手を出そうものなら“鬼の自警団”にすぐ捕まってしまうためだ。

(C) vnexpress
(C) vnexpress

 この街区で「自警団」が発足したのは17年前の2003年のこと。現在の団員は57~62歳の男性5人。いずれも退役軍人で、腕に覚えがある猛者ばかりだ。この5人がローテーションで、警察官とともにパトロールしている。

 団長のグエン・バン・フンさん(62歳)はこれまでに、団員と共に強盗や窃盗、麻薬売買など300件以上の犯罪を摘発した実績を残している。フン団長について、同街区警察のトップであるホアン・マイン・タン中佐は「犯罪の臭いを嗅ぎ取る嗅覚は現職の警察官も顔負けだ」と絶賛した。

 「これまでに誤認逮捕は一度もない。バイクを盗もうと考える輩は、必ず何度か標的の周辺を回って物色する。麻薬の売人は気配を隠すのが上手いが、注意深く観察すれば見破ることは決して難しくない」と語るフン団長。

 犯罪摘発に貢献しても、手当や補助金が支給されるわけではない。フン団長は「軍人としてやるべきことだ。どうせ退役しているから、時間もたっぷりある。市民の生活を守れるなら、それで十分だ」と話す。しかし、団員は既に高齢。若者が新たに加わってくれないと、自警団の存続は難しいと危惧している。

 自分を犠牲にして地域の安全を守る自警団の仕事はまさに命懸けだ。過去には、犯罪者との格闘で負傷し「お前はHIVに感染した。じきに死ぬぞ」と脅されたことがあり、これまで2度にわたって、抗HIV薬投与の治療を受けたことがある。

 「適切な治療をすれば麻薬中毒は治るが、私の中の犯罪を憎む情熱は衰えることはない」。このように語るフン団長は、犯罪が増えるテト(旧正月)の大晦日にも例年通り出動するつもりだ。「私の目が黒いうちは、この地区で犯罪者がのさばることは許さない。それでもやろうという輩は、首を洗って待っていろ」。

[Vnexpress 06:00 8/1/2020 U]
※VIETJOは上記の各ソースを参考に記事を編集・制作しています。
© Viet-jo.com 2002-2025 All Rights Reserved 免責事項

この記事の関連ニュース

 週末の朝、ホーチミン市3区の交差点そばにある喫茶店で、日焼けした5人の青年がしゃべりながら通りを眺...
 「ひったくり犯を発見すると体の中で血が沸き上がって、何としてでも捕まえようという気になります。両...

新着ニュース一覧

 世界最大級の宿泊予約サイト「ブッキング・ドットコム(Booking.com)」はこのほど、6月のプライド月間(L...
 米マイクロソフト(Microsoft)が発表した調査報告書「ワークトレンド指数(Work Trend Index)」2025年版...
 在ベトナム米国大使館は18日、巡視船「CSB8022」をベトナム海上警察に引き渡したと発表した。越米間の...
慣れない海外生活、急病や事故
何かあってからでは遅い!
今すぐ保険加入【保険比較サイト】
(※本記事はVIETJOベトナムニュースのオリジナル記事です。) 【ロンドン編】はこちら 【パリ編】は
 宅配を手掛ける地場ゴゾ・エクスプレス(Gozo Express)は18日、地場系コングロマリット(複合企業)
 最先端の機械学習テクノロジーを活用してモバイル資産を識別・評価・最適化する米国のラウンズ(Rounds)...
 サイゴンハノイ保険[BHI](Sai Gon-Ha Noi Insurance Corporation)は、韓
 ホーチミン市7区のサイゴンエキシビション&コンベンションセンター(SECC:799 Nguyen Van Linh, quan ...
 ベトナムは、ライチの生産量で中国に次ぐ世界2位となっている。  2025年の収穫量は約30万3000tで、...
 地場系コングロマリット(複合企業)ビングループ[VIC](Vingroup)傘下の電
 ハノイ市ノイバイ国際空港で、ベトナム人乗客による日本円の違法持ち出しが発覚した。税関当局が18日に...
 国内IT最大手のFPT情報通信[FPT](FPT Corporation)はこのほど、東南部地
 国会は18日、エネルギー使用効率化法の一部を改正・補足する法律を可決した。同法は2026年1月1日に施行...
 持田製薬株式会社(東京都新宿区)とMeiji Seikaファルマ株式会社(東京都中央区)は、持田製薬が日本で販...
 ベトナム発のITソリューション企業であるカオピーズ(Kaopiz、ハノイ市)と、東南アジア市場における医療...
トップページに戻る