北中部地方トゥアティエン・フエ省フオンチャー町フオントアン村(xa Huong Toan, thi xa Huong Tra)在住で、伝統工芸「宮廷枕(goi cung dinh)」を現代に伝える作り手だったコン・トン・ヌー・チー・フエさん(女性)が3月24日午後9時35分に亡くなった。101歳だった。
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フエさんは、グエン(阮)朝(1802~1945年)第2代皇帝ミンマン(明命)帝(在位:1820~1841年)の息子の1人であるミエンラム皇子の孫。ザップドン村落(thon Giap Dong)にあるフエさんの自宅は、地元の人々や観光客、特に伝統文化を愛する若者らが訪れ、「宮廷枕」伝道の地として親しまれてきた。
皇族の末裔であるフエさんは、幼いころから王宮で裁縫と刺繍を学び、人生の半分以上を「宮廷枕」作りに捧げてきた。「枕」というが、これは長方形のクッションが連なった形で、折り畳んだり開いたりすることができ、本を読んだり、詩を詠んだり、お茶を飲んだりするときに、頭や背中、腕をあずけて使う。かつて皇帝などがよく使っていたことから、「宮廷枕」と呼ばれている。
フエさんが作る「宮廷枕」はとても評判がよく、お土産のために買い求める観光客も多かった。フエさんの生前の願いは、「宮廷枕」作りを後世に伝えて残していくこと。最初の後継者は義理の娘、その後、孫娘も「宮廷枕」の作り手となった。