台湾:ベトナム人不法就労者の悲劇

2006/04/30 07:16 JST配信

 台湾で働くベトナム人労働者の1万人以上が不法就労者だ。そして現在このような不法労働者が労災などに遭い困難に陥るケースが頻発している。ある夫婦の場合は、妻が台湾で不法就労中に事故に遭い死亡。夫は現地の斡旋業者に遺体を引取る手続きを委任したが、手続料として請求された5,600万ドン(約42万円)を用意できず、自ら現地に赴き妻の遺体を引き取ろうとした。ところが既に結んでいた委任状を破棄できず、また台湾当局に認可されていない違法機関と委任契約を結んでしまったため、未だ遺体引取りの許可が下りない状態だ。

 また、医療費の問題も深刻である。保険料不払いや滞在期限超過により保険の適用外となり、医療費が莫大となってしまうケースも頻発している。ある女性は不法就労中の事故で植物状態に陥った。ベトナム側の斡旋業者は患者をベトナムの病院に移送するため現地へ渡ったが、医療費支払い面で現地斡旋業者と折り合わず、未だ患者の里帰りは実現していない。

 これら2つのケースは海外で不法就労者の置かれている状況を象徴している。これには様々な問題があるが、まず派遣先国側の規定や手続きを労働者やその家族が十分に理解していないという背景がある。現状ではベトナム側、派遣先国側の斡旋業者による取り決めに基づき派遣が実施され、労働者の権利はないがしろにされている。労働派遣は国家収入に寄与する「人材資源」事業であることを国家が十分認識し、国による海外派遣労働者に対する権利保障制度の確立が望まれる。

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