ハリウッド御用達のテーラー タム・グエン

2010/01/17 06:35 JST配信

 ベトナム系カナダ人タム・グエンは、ハリウッドスターに引っ張りだこのテーラー。カナダ中部マニトバ州の州都ウィニペグにある「タムズ・テーラー」は、ミシンの音やベトナム語と英語の入り混じった話し声や笑い声などでいつもにぎやかだ。店に足を踏み入れると、一度見たら忘れられない満面の笑顔で迎えてくれる。今年53歳になる彼は「有名人御用達の仕立屋」として知られている。

 彼がこう呼ばれることになったのは、あるハリウッドスターの急な注文に応えたことからだった。「ある女性が私の店に来て、24時間以内にスラックスを仕立てることができるかと尋ねた。できると答えると、次の日彼女は私をホテルに連れて行き、パトリック・スウェイジ(2009年9月にがんで亡くなったハリウッド俳優。『ダーティ・ダンシング』などの映画に出演)に会わせてくれた。実は当時、私は彼が誰なのかも知らなかった」。

 タム・グエンの仕事ぶりは気に入られ、これが彼にとって新しいステージ、米国ショービズ界進出のきっかけになった。彼はこれまでにフィリップ・シーモア・ホフマン(俳優)、ハーベイ・ケイテル(俳優)、ケビン・ポーラック(俳優)、キャサリン・キーナー(女優)など多くの俳優や女優たちから注文を受けてきた。俳優ブライアン・デネフィーのために、2週間でスーツとワイシャツを5セット仕立て上げたこともある。

 タム・グエンは南中部クアンガイ省の出身で、1980年にウィニペグに移住した。ベトナムに居たころから仕立ての仕事をしていたので、移住後もしばらくはテーラーや縫製工場で朝から晩まで働いた。その後、人のもとで働くことにあまり向いていないと思うようになった。彼は友人らの応援を受けて自分の店を開く。英語は苦手だったが、友人らは「君の仕立てはすばらしいから、英語が話せなくても大丈夫だ」と言って励ましてくれた。カナダに移住して6年後のことだった。今ではすっかり有名な店になった。「自分が町で一番のテーラーだなんて思わないが、お客さんから頼まれたらどんな仕事でも引き受けるよ。毎日忙しくて時々働き過ぎかなと思うけれど、お客さんの喜ぶ顔が見たいからね」

 ベトナムを離れて長いが、気持ちはいつも祖国ベトナムを向いている。1995年に慈善団体「カナディアン・ヘルピング・キッズ」を設立、これまでに故郷クアンガイ省での学校建設や医薬品購入などのために100万カナダドル(約8800万円)を寄付している。

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