170年前に初めて米国へ渡ったベトナム人、チャン・チョン・キエム

2020/11/08 05:15 JST配信

 1854年、キエムは「レ・キム」を名乗ったままベトナムに帰国した。かつての犯罪による指名手配から逃れるため、故郷には帰らず、「明郷(Minh Huong)人」(中国の清朝への服属を拒否した中華系移民)を自称し、ディントゥオン省(現在の南部メコンデルタ地方ティエンザン省ベンチェ省ドンタップ省)で開拓に従事した。

(C) thanhnien
(C) thanhnien

 キエムは開拓を進め、ディントゥオン省タンタイン府ホアアン村(lang Hoa An, phu Tan Thanh, tinh Dinh Tuong、現在のドンタップ省の一部)を設立した。キエムはここでファンという女性と再婚し、2人の息子をもうけた。

 キエムは、1860年に故郷のスアンルン村にいる実兄のチャン・マイン・チー宛てにチュノム(ベトナム語を表記するために漢字を応用して作られた文字)で書き送った手紙の中で、フォーヒエンで乗り込んだ外国の商船から米国での過酷な日々、ベトナムへの帰国、そしてディントゥオン省に居を構えたことまで、自分が経てきた10年間の旅について詳細に語った。

 1860年代に入ってフランスがコーチシナの東部3省と西部3省を占領すると、キエムは家と土地、すべての財産を手放し、当時ドンタップムオイ(Dong Thap Muoi、現在のロンアン省、ティエンザン省、ドンタップ省)でフランス植民地支配に対する蜂起を指導していたボー・ズイ・ズオンに付いて、反乱軍に志願した。

 その後、キエムは1つの軍の指揮を任され、ミーチャー(My Tra、現在のドンタップ省カオライン市)をはじめとする各地で抗戦した。そして1866年、ドゥ・ラ・グランディエール率いるフランス軍の襲撃で反乱軍は倒れたが、キエムは敵に捕らえられることを拒否し、自害した。このころ、キエムは45歳だった。キエムの遺体は、ゴータップ(現在のドンタップ省タップムオイ郡)に埋葬された。

前へ   1   2   3   次へ
[Thanh Nien 06:40 06/11/2020, A]
※VIETJOは上記の各ソースを参考に記事を編集・制作しています。
© Viet-jo.com 2002-2025 All Rights Reserved 免責事項

新着ニュース一覧

 ベトナム人ラッパーのPjpoは6月3日、NFT(非代替性トークン)マーケットプレイスの「ダゴラ(Dagora)」と...
 南中部地方ダナン市で2日、ヘリコプター遊覧ツアーが正式に再開された。  国防省ベトナムヘリコプ...
 地場系コングロマリット(複合企業)ビングループ[VIC](Vingroup)は1日、北
慣れない海外生活、急病や事故
何かあってからでは遅い!
今すぐ保険加入【保険比較サイト】
 ベトナムを代表する考古学者・人類学者で、音楽家としても知られるグエン・ラン・クオン(Nguyen Lan Cu...
 小型電気自動車(EV)タクシーに特化した「レッツゴー・タクシー(Let’s Go Taxi)」は、2024年5月に...
 食品用紙容器の開発・製造を手掛けるスウェーデンのテトラパック(Tetra Pak)は3日、ホーチミン市ビンタ...
 観光不動産開発を手掛けるサングループ(Sun Group)はこのほど、ホーチミン市人民委員会に対して、社会...
 ベトナム国家サイバーセキュリティテクノロジー(Vietnam National Cyber Security Technology Corporat...
 東北部地方クアンニン省人民委員会は、同省文化スポーツ観光局の提案を受け、2025年7月4日から2026年1...
 ベトナムを代表するIT最大手FPT情報通信[FPT](FPT Corporation)は1日、イ
 人工知能(AI)を活用した検索プラットフォームを開発する地場スタートアップのAIハイ(AI Hay)はこのほど...
 VIETJOベトナムニュースが6月に配信した記事のアクセス数ランキングをご紹介します。 1位:個人事業...
 6月は、第15期(2021年~2026年任期)国会第9回会議が閉幕しました。今国会では、34本の法律を可決し、14...
 チャン・ホン・ハー副首相はこのほど、南中部地方クアンガイ省ズンクアット経済区内でのズンクアット東...
 ベトナム航空[HVN](Vietnam Airlines)は3日、2020年以来約5年ぶりにダナン
トップページに戻る