ハノイ旧市街の超狭小集合住宅、70人で共同便所1か所

2023/11/26 10:37 JST配信

 フランス植民地時代からある共同便所1か所を70人で使う

(C) dantri
(C) dantri
(C) dantri
(C) dantri
(C) dantri
(C) dantri
(C) dantri
(C) dantri

 ハンボン集合住宅はもともと、フランス植民地時代にフランス人が建てた高級ホテルだった。その後、植民地から脱すると、建物は2つのエリアに分けられ、上の階は西洋風のダンスフロア、下の階は合作社の拠点となった。

 1世紀近くを経て、現在は10世帯ほどが暮らしているが、土地の区画は不均等に分割されている。住人のほとんどが、代々ここに住み続けている人たちだが、若者はこの生活環境に耐えられず、住人は高齢者ばかりになっている。

 集合住宅全体では70人近くが暮らしているが、フランス植民地時代からある、トイレと風呂場を兼ねた共同便所が1か所あるだけだ。もちろん自動ではなく、自分で水を流さなければならない。使い方が汚い人がいても、次に使う人が我慢するしかない。

 この共同便所は、1人につき朝夕15~20分しか使うことができない決まりになっている。ピーク時には大勢がタオルや石鹸を手にして通路に並び、順番を待っている。「けんかなんてしょっちゅうで、長いことこもる人もいれば、すぐに出てくる人もいます。夏場にさっさと入浴したければ、時間を節約するために2~3人で一緒に入ることもあります。深夜0時まで順番を待たなければならないことだってありますから」とアインさんは語る。

 アインさんの部屋には専用のトイレがあるが、トイレや入浴、洗濯で水を流すとすぐに排水管が詰まってしまう。水が流れなくなるたびに詰まりの解消に数百万VND(100万VND=約6100円)を費すことになるため、このトイレはもはやあってないようなものだ。

超狭小がゆえの問題

 2019年、アインさんの父親が脳卒中を起こした。そのとき父親はロフトの3階に横たわっていた。アインさんと母親は、救急車で運ぶために父親を抱えて下りようとしたが、ロフトの階段が狭すぎて、どんな体勢でも自分たちだけでは無理だった。

 アインさんは父親が死んでしまうのではないかと怖くなったが、母親は落ち着いて、父親を元の場所に寝かせて応急処置を施したのだった。そして、父親は言葉が発せられるようになり、第一声は「助けてくれ」だったという。

 その後、父親が回復すると、両親は市内の別のところに引っ越した。アインさんは毎日、バスに乗って両親の家に行き、両親の世話をして、そこで息子の食事を用意し、入浴や洗濯も済ませる。そして夜になるとハンボン集合住宅に寝るためだけに帰るという生活を送っている。

 この集合住宅に移り住んだばかりのころ、アインさんは、旧市街で暮らす人々がそこまで幸せというわけではないことを知った。しかし皆、旧市街ならお金は稼げると言う。だからこそアインさんは、自分の人生を変えたいという希望を抱いていた。

 旧市街の住人になったアインさんだが、旧市街で土地使用権証明書を持つと苦労する、という話は本当だったとわかり、その苦しみは想像を超えるものだった。「何世代にもわたってここに根付いてきた人たちは、『逃げる』ことができなくて、何かが変わることを待ち続けているんだと思います」と、アインさんは語った。

前へ   1   2   3   次へ
タイトルとURLをコピー
[Dan Tri 06:04 28/09/2023, A]
※VIETJOは上記の各ソースを参考に記事を編集・制作しています。
© Viet-jo.com 2002-2024 All Rights Reserved 免責事項

この記事の関連ニュース

 ハノイ市旧市街にある共同便所の屋根上で40年以上暮らしている夫婦がいる。  グエン・フン・ハイさ...
 ホーチミン市のバックパッカー街として知られる1区ブイビエン(Bui Vien)通りは、市内で最も賑やかなエ...

新着ニュース一覧

 スーパーマーケット事業を手掛ける株式会社ヤオコー(埼玉県川越市)は、 今後の成長戦略の布石として地...
 英スタンダードチャータード銀行(Standard Chartered Bank)はこのほど発表したベトナムのマクロ経済に...
慣れない海外生活、急病や事故
何かあってからでは遅い!
今すぐ保険加入【保険比較サイト】
 地場系コングロマリット(複合企業)ビングループ[VIC](Vingroup)の子会社
 他に人のいない家の中で、タオ・バン・ポーさん(男性・36歳)が子供をあやして泣き止ませようとしている...
 ベトナムを代表する情報技術(IT)最大手FPT情報通信[FPT](FPT Corporation
 西北部地方イエンバイ省イエンビン郡(huyen Yen Binh)にあるイエンバイセメン
 栃木県は、ハノイ市に「とちぎベトナムサポートハブ(とちぎハブ)」を開設し、24日より活動を開始した。...
 ベトナムIT最大手FPT情報通信[FPT](FPT Corporation)グループの日本法人F
 金属プレス加工や部品組み立てなどを手掛ける河政工業株式会社(東京都葛飾区)は、北部紅河デルタ地方バ...
 国会常務委員会は20日、第15期(2021年~2026年任期)国会の第7回会議の会期を5月20日から6月8日までと6...
 台湾の大手自転車製造メーカーのジャイアント(Giant)は22日、ベトナム事業拡大を目的に、1億2000万USD(...
 MIRARTHホールディングス株式会社(東京都千代田区)のグループ会社である株式会社タカラレーベン(東京都...
 南中部沿岸地方ダナン市ダナン国際空港の国際線ターミナルを運営するダナン国際ターミナル投資開発(Da ...
 政府は22日、違法・無報告・無規制漁業(IUU漁業)と闘うための行動計画に関する決議第52号/NQ-CPを公布...
トップページに戻る