ハノイ郊外の2つのトンネル、軍幹部をかくまった地下要塞

2025/11/16 10:27 JST配信

 完成したトンネルでは、軍幹部の保護が最優先事項だった。警報が鳴ると、住民はトンネルではなく畑の防空壕に避難した。「住民は誰もトンネルには入りませんでした。トンネルは軍人のための場所であり、敵に発見されないようにするためのものですから」とライさんは話す。

(C) VnExpress、ナムホンのトンネル
(C) VnExpress、ナムホンのトンネル
(C) VnExpress、タムフンのトンネル
(C) VnExpress、タムフンのトンネル
(C) VnExpress、タムフンのトンネル
(C) VnExpress、タムフンのトンネル
(C) VnExpress、タムフンのトンネル
(C) VnExpress、タムフンのトンネル

 ナムホン村の住民たちは、命を懸けてトンネル網の秘密を守った。ライさんによると、フランス軍は疑いを持ってはいたものの、トンネルを見つけることはできなかった。敵は、住民を迫害し、拷問し、さらには見せしめに斬首したこともあったという。

 2人のゲリラ兵は、トンネルを出た途端に捉えられ、残忍な拷問を受けたにもかかわらず自白を拒否したため、最終的にライさんの自宅の庭で絞首刑に処せられた。「身内が殺されるのを見て、耐えられる人がいるでしょうか。それでも革命のために、誰もが歯を食いしばって耐えなければならなかったんです」とライさんは語る。

 1947年から1950年にかけて、フランス軍は略奪と爆撃を繰り返し、畑は荒廃した。住民は極度の飢えに苦しんでいたが、軍幹部に米を譲った。炊いた白米は、夜に兵士たちが取りに来られるよう、トンネルの入り口近くの竹藪に吊るした。

 ナムホン村のゲリラ兵と住民は、フランス軍と308回の戦闘を行い、244回の襲撃を受け、2000棟以上の家屋が焼失した。

 1996年1月、ナムホン村は「人民武装部隊の英雄」の称号を授与された。また、ナムホン村のトンネルは国家級歴史文化遺跡に指定され、現在も約200mが保存されている。

 ナムホン村から約40km離れたタムフン村にも、「地下要塞」が築かれた。当初、このトンネルは軍幹部をかくまい、食料を貯蔵するために使われていたが、後に敵の侵攻を阻止するための戦闘拠点となった。

 当時のゲリラ部隊の主要メンバーだったズオン・バン・ザンさん(男性・97歳)は、この村の重要性についてこう説明する。「タムフン村を守ることは、ハドン省(現在のハノイ市)の拠点への安全な回廊を守ることでもありました。タムフン村が落ちれば、敵はもっと広範囲に脅威を与える可能性があったので、我々は何としてもタムフン村を守らなければなりませんでした」。

 1948年から、タムフン村の軍と住民は、「1つの村に1つの要塞」という方針を実行した。トンネルを掘る前に、村全体が協力して地上に防衛網を構築し、村の周囲に生い茂る竹藪を組み合わせて、自然の壁を作り上げた。村につながる道は封鎖し、代わりに巧妙にカモフラージュされた無数の塹壕や銃座、落とし穴などを張り巡らせた。

 村全体が戦闘組織と化し、見張りや食事の準備、竹槍作り、杭の手入れ、トンネル掘りなど、敵の襲来を待ち受けて全員に役割が与えられた。

 ナムホン村とは異なり、タムフン村の土壌は砂利が混じった粘土で硬く、掘削は困難を極めた。道具も原始的で、柄の短い鍬やつるはし、シャベルしかなかった。軍と住民は6つのグループに分かれ、各村落を結ぶためトンネルを掘る任務を負った。トンネルの深さは地表から約1.2m、天井の高さは1.5~2mだった。

前へ   1   2   3   次へ
[VnExpress 00:06 03/09/2025, A]
※VIETJOは上記の各ソースを参考に記事を編集・制作しています。
© Viet-jo.com 2002-2026 All Rights Reserved 免責事項

新着ニュース一覧

 地場CTグループ(CT Group)はこのほど、低空経済(Low Altitude Economy=LAE)の中核拠点となるセンター...
 ホーチミン市ビンチュン街区(旧トゥードゥック市)のマイチート(Mai Chi Tho)通りに建設されていた自転...
 クリエイト・キャピタルベトナム[CRC](Create Capital Vietnam)と米国サ
慣れない海外生活、急病や事故
何かあってからでは遅い!
今すぐ保険加入【保険比較サイト】
 チュオン・ティ・トゥエット・チンさん(女性・63歳)は、7~8歳のころからホーチミン市のベンタイン市場...
 未成年犯罪者に対する電子監視措置と社会復帰支援を規定する政令第333号/2025/ND-CPでは、未成年者が罪...
 商工省傘下の国家競争委員会は29日、通話やメッセージング、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(S...
 国際情勢が不安定化する中、ベトナムの経済外交は2025年に約350件の協定・コミットメントに合意した。...
 ドローン技術を手掛ける地場スタートアップのサオラテック(Saolatek)は29日、携帯端末販売を展開するジ...
 農業環境省はこのほど、ベトナム農産物トレーサビリティシステムのお披露目式典を開催した。同システム...
 日本の法務省出入国在留管理庁が発表した2025年1~6月期における外国人入国者数及び日本人出国者数等に...
 日本の法務省出入国在留管理庁が発表した2025年6月末時点における在留外国人数に関する統計によると、...
 日本の法務省出入国在留管理庁が発表した2025年7月1日時点における不法残留者数に関する統計によると、...
 政府はこのほど、電子労働契約に関する政令第337号/2025/ND-CP(2026年1月1日施行)を公布した。これによ...
 不動産開発を中核とする民間複合企業ビングループ[VIC](Vingroup)傘下の
 ホーチミン市人民評議会は、第4トゥーティエム橋案件の投資方針を承認した。同案件は、投資総額5兆0630...
トップページに戻る