テト間近のホーチミン中心部、1日4万VNDで「寝床を買う」人々

2026/02/15 08:15 ICT配信

 共同下宿は全体で約100m2の広さがあり、寝室として小さな区画に分けられている。1階には、天秤棒や籠など、長いこと使い込まれてきた住民たちの商売道具が所狭しと置かれている。

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 2階の生活スペースは窮屈で、床いっぱいに敷かれたござの上に人々が身を寄せ合って横たわる。周囲には衣類の入った袋がぶら下がっている。ここは、長い夜を過ごした行商人たちが身を休める仮の住まいとなっている。

 またある日の午後、同じく旧ビンディン省出身のサウさん(女性・65歳)は、夜更かしが続いて目の下に深いくまを作りながらも、明るく客を呼び込んでいる。

 サウさんは、旧暦12月26日(新暦2月13日)に帰省する無料のバスチケットを知り合いから手に入れることができた。「毎年、節約のために無料のバスで帰省しているんです」と話す。

 サウさんにとって、テトは質素なものだ。贈り物もなく、買い出しもほとんどしない。「お金はあまりありませんが、家に帰って子どもたちと再会できれば、それで十分です」。年明けの数日間を皆で過ごせれば、それだけで心が温まるのだという。

 サウさんは毎日欠かさず、オンライン橋からグエンバンクー通りまで約50kgの商売道具と商品を担いで行き、夜には飲み屋を回って商売をする。そして、23時近くになってようやく歩いて共同下宿へ戻る。

 「バイクタクシーを使えば楽なのでは」と言われると、サウさんは笑って首を横に振る。「30分も歩けば着きますから。バイクタクシーを使えば1回3万VND(約180円)はかかります。そんなお金は払えませんよ」。特にここ数か月は売れ行きも低迷しており、稼いだお金は食費と下宿代で消えてしまう。

 サウさんの2人の子どもはすでに結婚し、それぞれ家庭を持っている。サウさんは、60歳を過ぎても、故郷へ完全に戻るつもりはない。「子どもたちは自分の家庭のことで精一杯ですし、私は私で、自分のことは自分で何とかしなければなりませんから」と語る。

 「行商人集落」に暮らす人々にとって、テトは家族と過ごすほんの数日の団らんにすぎない。その後はまた、慣れ親しんだ天秤棒とともに、都会の喧騒の中で休みのない日々を過ごすのだ。

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