2002年、夫婦は長男を授かった。トゥエットさんは子どもを育てながら、重病を抱える夫と高齢の母親の世話を一身に引き受けた。ミンさんが発作を起こして叫び声を上げたり、家の中の物を壊したり、食べ物を吐き出したり、自分の食べ物を他人の器に入れたりするたびに、トゥエットさんは辛抱強く夫をなだめた。
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夫が意識を失っている時は、彼女が自ら身体介助や衛生面のケアを行った。精神的に不安定なミンさんは、周囲の人々にそそのかされて根拠のない嫉妬に駆られ、妻に暴力を振るうことも一度や二度ではなかった。
暴力を受けても、トゥエットさんは決して夫を恨まなかった。「夫にとって、私と子どもが世界で唯一の存在だからこそ、失うのが怖いんでしょう」とトゥエットさんは話す。
ミンさんの病状が深刻化するたびに、トゥエットさんは彼を療養所に入院させ、数か月後に容態が安定すると自宅に連れて帰った。しかし、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が流行してからは、医療ケアを受けさせるために夫を療養所に常時預けるようにし、祝日やテト(旧正月)の時期にだけ自宅へ連れて帰るようになった。
2025年、夫妻の息子はハノイ市の大学を卒業し、地元に戻って就職した。2026年の初め、トゥエットさんは自身の毎月190万VND(約1万1500円)の年金と夫の傷病兵手当をコツコツと貯め、親戚から借金をし、さらに療養所からの5000万VND(約30万3000円)の支援金を合わせて、老朽化した広さ40m2の家を取り壊し、新しい住まいを建てた。
これまでの26年間にわたる歩みを振り返り、トゥエットさんは、この歳月こそが偏見を乗り越えた何よりの愛の証しだと考えている。「もし、もう一度選択できるとしても、私はやっぱり、多くの苦難を背負ってきた兵士の世話に一生を捧げるでしょうね」とトゥエットさんは語る。
ゲアン傷病兵療養センターの所長であるグエン・ティエウ・ラムさんは、ミンさんの診療記録に保管されている、精神を病んだ退役軍人との結婚を自ら志願したトゥエットさんの誓約書を読み、大きく心を揺さぶられたと話す。
この26年間、トゥエットさんが夫に注いできた揺るぎない愛情を目の当たりにし、ラムさんや療養センターの職員たちは感服せざるを得ない。
「トゥエットさんの自己犠牲は、我々のようなケアスタッフの一人ひとりに、戦場で血を流し、傷を負った人々を常に敬い、大切にすることを改めて教えてくれるんです」とラムさんは語った。








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