帰国後の仕事探しに苦戦するベトナム人労働者、再び海外へ

2026/10/25 08:34 ICT配信

 しかし、トゥエンさんはベトナムに約1年間滞在した後、再び韓国への渡航を申請した。ベトナム国内での仕事の収入は海外での約40%にとどまり、職場環境も「思っていたのとは違った」からだ。韓国語を生かして業務をサポートすることはできたが、別の職種に移るには専門知識や技能が不足していた。

(C) VnExpress
(C) VnExpress
(C) VnExpress
(C) VnExpress

 「帰国後の環境にはなかなか適応できませんでした。向こうの環境に慣れていて、まだ家庭などのしがらみもなかったので、もう一度韓国に行くことにしたんです」とトゥエンさんは振り返る。

 2度目の韓国滞在では、プラスチックリサイクルを行う工場に移り、トラックやフォークリフトの運転免許を追加で取得した。2022年末に帰国した時点で、海外で働いた期間は通算10年に達していた。

 トゥエンさんは、就労ビザを上位区分に切り替えて契約を延長できる条件を満たしていたが、最終的には家族のために帰国を選んだ。トゥエンさんと同じ時期に渡航した友人の大半は、現地にとどまり、上位の技能ビザに切り替えて働き続けた。

 「同じ分野であっても、ベトナム国内での仕事の収入は海外の40~50%程度です。35~40歳という中途半端な年齢で帰国しても、採用してくれる企業はほとんどないので、あと数年頑張って稼ぐ道を選ぶ人が多いんです」と、多くの人が一度帰国しながらも再び海外へ出る理由についてトゥエンさんは語る。

 中には、海外生活が約20年に及び、帰国する時期もまだ考えていないという人もいる。帰国者の多くは、海外で働いた経験に価値を感じており、調査対象者の72%が蓄積したスキルや経験が現在の仕事に役立っていると答えたものの、28%はそれらのスキルがベトナムでの現在の仕事には合っていないと感じている。

 日本向けの人材派遣を手掛ける企業の支社長であるグエン・クイさん(男性)は、海外で働いた経験は、労働者の考え方や習慣に影響を与えやすいと指摘する。彼らは若いうち、あるいは労働市場に足を踏み入れたばかりの時期に渡航することが多いためだ。

 帰国時には給与面での「ショック」を受けやすく、考え方を変え、新しい職場環境に慣れるまでに長い時間を要する。帰国した労働者が海外で身についた考え方や習慣を変えられなければ、適応するのは非常に難しい。

 海外勤務時と同等の収入が得られる、まったく同じ仕事を見つけることはほぼ不可能だ。さらに、同じ分野であっても、労働者の技能や基礎知識、国内の職場環境、同僚、顧客の要求はまったく異なる。そのため、帰国労働者の多くが以前の就労先の国に戻るか、自営を始めることを選んでいる。

 クイさんによれば、新たに海外へ働きに出る人は、お金を稼ぐという目的に加えて、語学を学び、技能を高めて将来的に渡航先に残る機会を得る、あるいは帰国後に納得のいく好収入の仕事を見つけるといったかなり具体的な目標を立てている。しかし、こうした当初の目標を維持するのは容易ではないという。

 日本では、残業をしない場合、諸費用を控除する前の労働者の月収は約18万円だとクイさんは試算する。家賃、税金、保険料を引いた後、貯蓄できる額は1300万~1500万VND(約8万~9万2000円)にすぎない。しかし、月に約60時間の残業をすれば、貯蓄額は1.2~1.5倍になる可能性がある。

前へ   1   2   3   次へ
© Viet-jo.com 2002-2026 All Rights Reserved 利用規約 免責事項

この記事の関連ニュース

 政府は、契約に基づき海外で働くベトナム人労働者を対象に、募集準備から選考、出国、海外での就労、帰...
 ベトナム人労働者が海外就労のために支払う平均費用が減少している。財政省傘下統計局(NSO)と国際移住...
 生活費の高騰や在留資格の要件の厳格化などを背景に、日本で働くベトナム人労働者の間で帰国を選択する...

新着ニュース一覧

 ベトナムに帰国してから1年間にわたり職業訓練や求職活動に奔走した末、ラムさん(男性)は2025年末に再...
 ベルギーを公式訪問中のトー・ラム書記長 兼 国家主席は23日、同国の首都ブリュッセルでバルト・ドゥ=...
 フランスのミシュランガイド(Michelin Guide)は2026年版の「ミシュランキー(MICHELIN Key)」を発表し、...
慣れない海外生活、急病や事故
何かあってからでは遅い!
今すぐ保険加入【保険比較サイト】
 11月15日(日)と16日(月)の両日、東京都内で「世界のお巡りさんコンサート2026 in TOKYO」が開催される...
 欧州連合(EU)を公式訪問中のトー・ラム書記長 兼 国家主席は22日、ベルギーの首都ブリュッセルで、欧州...
 北中部地方タインホア省警察は17日、公安省刑事警察局(C02)などと連携し、ホテルを1棟丸ごと借り上げて...
 トー・ラム書記長 兼 国家主席と夫人が、公式実務訪問賓客として11月8日から11日までの日程で訪日する...
 畜産、食品・飲料、小売、鉱山採掘を手掛ける民間複合企業マサングループ[MSN
 ベトナム航空[HVN](Vietnam Airlines)は11月17日、南中部地方ダナン市と
 トリミングサロン「アイズドッグ」を運営する株式会社I One(愛知県海部郡)は、ベトナムで動物病院やペ...
 不動産開発を中核とする民間複合企業ビングループ[VIC](Vingroup)系の高
 東南部地方ドンナイ市ロンフオック村(xã Long Phước)にある第2リラマ国際技術短期大学...
 米グーグル(Google)とシンガポールのテマセク(Temasek)、米コンサルティング会社ベイン・アンド・カン...
 ファム・ザー・トゥック第一副首相はこのほど、2075年までを視野に入れた2050年までの南中部地方ダナン...
 日本政府観光局(JNTO)が発表した統計(推計値)によると、2026年9月の訪日ベトナム人数は前年同月比▲9.2...
トップページに戻る