- 低所得層への経済的な負担を懸念
- 充電インフラの未整備や火災リスクも
- バイク業界全体に及ぼす影響大
ベトナムバイクメーカー協会(VAMM)は、政府がガソリンバイクを規制して電動バイクに転換する戦略を推し進めている件について、最低2~3年の準備期間が必要だとする意見書を政府と関係省庁に提出した。
![]() (C)Phap Luat Moi |
ファム・ミン・チン首相はこれに先立つ7月中旬、環境保護を目的とする指示第20号/CT-TTgを公布した。これにより、2026年7月1日からハノイ市内の環状1号線内で、ガソリンを使用するバイクの走行が全面的に禁止されることになった。対象エリアは2028年に環状2号線、2030年には環状3号線へと段階的に拡大される見通し。
VAMMは国民への影響について、「低所得層にとって車両買い替えは大きな経済的負担となる。電動バイク用の充電インフラも未整備で、老朽化した集合住宅では火災発生のリスクも懸念されている」と指摘している。
また、VAMMは企業側への影響について、電動バイクへの性急な移行は生産から販売、アフターサービスに至る業界全体に多大な影響を及ぼすと警鐘を鳴らした。
メーカー各社は、2027年中に適用される排ガス基準「ユーロ4(Euro 4)」に対応するため、設備・技術のアップデート向けに多額の投資を行ったとされる。ガソリンバイクから電動バイクへの転換により、その投資が無駄となり、メーカー各社にとって大きな損失となってしまう。
ガソリンバイクメーカーだけでなく、全国のガソリンバイク販売代理店約2000社とガソリンバイク部品サプライヤー約200社も大きな打撃を受ける見通しで、これに伴う雇用の喪失や社会保障への圧力も懸念される。
VAMMは、電動バイクへの転換計画について、現実的かつ持続可能な移行を確保するには、最低2~3年の準備期間が必要であるとし、管轄当局・企業・国民が協調して課題解決に取り組むことが肝心だとした。