3月18日にベトナムで公開予定だった米国のアクション映画「アンチャーテッド(Uncharted)」について、当局は12日までに上映中止を決めた。
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上映中止の理由は、中国が南シナ海全域の領有権を主張するため地図上に引いている破線「九段線(牛舌線)」が劇中のシーンに映っているためだという。
中国は地図上に「九段線」と呼ばれる破線を引き、南シナ海ほぼ全域の領有権を主張している。九段線は、U字線または牛舌線とも呼ばれ、ベトナムの領海を含めた南シナ海全域を囲んでいる。
「アンチャーテッド」はアクションアドベンチャーゲーム「アンチャーテッドシリーズ」の実写映画で、「スパイダーマン」シリーズなどで知られるトム・ホランドが主演を務めている。日本では2月18日に公開された。
ベトナムでは、「スパイダーマン」ファンも含めて「アンチャーテッド」への期待が高まっていたが、「九段線」問題を受けて当局の上映中止の決定を支持する声が多くあがっている。
なお、2019年10月には、米中合作のアニメーション映画「アボミナブル(Abominable)」の劇中で背景に映る世界地図の南シナ海の部分に九段線が描かれていたため、公開からわずか10日後に上映中止が決まった。これを受けて、文化スポーツ観光省は配給を担当したCGVに1億7000万VND(約86万7000円)の罰金を科した。また、同省映画局の一部の職員も処分を受けた。
2020年7月には、同じく「九段線」が問題となり、中国ドラマ「あったかいロマンス(Put Your Head on My Shoulder)」で該当のシーンがカットされた。さらに、2020年8月にも米国ドラマ「マダム・セクレタリー(Madam Secretary)」が同様の違反で処分を受けている。
さらに2021年7月、映像ストリーミングサービス「ネットフリックス(Netflix)」が、オーストラリアのテレビドラマシリーズ「パイン・ギャップ−諜報機関実録−(Pine Gap)」の配信を停止した。全6話から成るこのドラマには、「九段線」が描かれた地図が第2話と第3話に映り込んでいた。