今月13日に南極海で沈没した韓国漁船に乗り組んでいたベトナム人船員11人のうち救助された7人がこのほど帰国し、遭難時の様子を語った。この事故ではベトナム人1人を含む5人が死亡、17人が行方不明になっている。28日付トゥオイチェー紙電子版が報じた。
北中部ハティン省出身のチャン・ディン・カインさんによると、遭難した13日の朝は波が荒く5~6メートルの高さがあったという。「午前6時ごろ、コック長が船員を起こしにきた。30分ほどすると横波を受けて船が右に傾き、大量の海水が船内に流入した。その後、船長が全員に救命具を身につけて海に飛び込めと叫んだ」
「5分もしないうちに船が転覆した。船員の中には救命具を着ていない人もいた。自分は沈没していく船の綱に足が絡まって10メートルほど引きずりこまれたが、必死にはずして海面に浮かびあがることができた。別の2人の船員と木片につかまって救助を待った」とカインさんは語った。
冷たい海の中で40分ほど待つ間に誰もが手足の感覚を失っていった。別の漁船が救助にきてくれたときには命綱を手でつかむことができず、歯で噛んだという。カインさんは「同僚のグエン・バン・タインさんは、命綱を歯で噛むことさえできずにいるうち、目の前で高波に飲まれて海に沈んでしまった」と涙ながらに語った。