情報通信省傘下で携帯通信大手のモビフォン(MobiFone)が、デジタルテレビ放送サービスを提供する地場オーディオ・ビジュアル・グローバル(Audio Visual Global=AVG)株95%を購入し多額の公的資産損失をもたらした汚職事件を受けて、共産党中央執行委員会傘下の中央検査委員会はハノイ市で12日から14日にかけて調査結果に関する会合を開いた。
会合の末、政府官房国営企業刷新・発展指導委員会副委員長のグエン・チョン・ズン氏に警告処分を、政府官房元副主任のレ・マイン・ハー氏および財政次官のチャン・バン・ヒエウ氏の2人にけん責処分を科すことを決定した。ハー氏は元国家主席のレ・ドゥック・アイン氏の息子として知られている。
また、元党中央執行委員・元計画投資相のブイ・クアン・ビン氏の処分を党中央執行委員会に要請することでも一致した。
公安省はこれに先立つ14日、事件の全容を把握すべく、既存の容疑者だけでなく捜査対象を拡大することを明らかにした。
同事件に関与したモビフォン元社長のカオ・ズイ・ハイ容疑者(男・57歳)や同社元会長 兼 社長のレ・ナム・チャー容疑者(男・57歳)、情報通信省企業管理部元部長のファム・ディン・チョン容疑者(男・48歳)など複数の上級幹部が逮捕され、チュオン・ミン・トゥアン情報通信相も10月に国会により解任された。
同事件は、AVGが企業価値評価で大幅に水増しされ、モビフォンが同社株95%を実質的な価値を大きく上回る8兆8898億VND(約440億円)で購入したというもの。モビフォンは売却側に取引額の95%を支払った。AVGの財務状況は極めて脆弱だったが、モビフォンは情報通信省から承認を得た上で、AVGの買収を決定した。
グエン・フー・チョン共産党書記長が非常に深刻な汚職事件として買収の取り下げを指導したことを受けて、モビフォンにAVG株を売却した者はこれまでにモビフォンから受け取った資金の全てを払い戻している。