若者にお盆を思い出してもらいたくて、花のブローチ配る老父

2019/08/24 03:32 ICT配信

 日本と同様に8月15日(旧暦7月15日)にお盆を迎えたベトナム。ホーチミン市5区チャンニャントン通り77番地(77 Tran Nhan Ton, quan 5, TP. Ho Chi Minh)の路上には、今年も花のブローチを携えたボー・タイン・ロンさん(男性・74歳)の姿があった。

 ロンさんはバイクにクーラーボックスを乗せて、毎朝5時に7区にある自宅を出て、夕方5時までここでコーヒーを売っている。毎年お盆の日にはコーヒーを買った客に花のブローチを配る。母親が健在の客には赤い花、母親が亡くなっている客には白い花。

 「今の若い子たちは仕事に追われて目まぐるしい生活の中で、生まれて来れたことに感謝するのを忘れてしまうことがあるでしょう。だからこの花を贈ることを思いついたんですよ。母親がまだ健在な人にはこの赤い花で自分の恵まれた境遇に感謝することを思い出すように、そうでない人は亡き母を偲ぶように…」そう言いながらロンさんは自分の胸に付けた白い花のブローチを見下ろした。

 花のブローチは1袋40個入りで5万VND(約230円)。今年はお盆前から配り始めて赤い花2袋は全てなくなり、白い花は若者2人に配るにとどまった。みんなの母親がまだ健在であることが何より喜ばしいことだとロンさんは語る。

 ロンさんには2人の娘がいる。姉のタオさん(26歳)は医者で、妹のヒエンさん(22歳)は科学技術者。2人とも米国で暮らしている。タオさんは4歳の頃から英語を学び始め、中学4年生(日本の中学3年生にあたる)の時に米国へ留学した。かつてロンさんは娘たちを留学させるために家を売った。子供に知識を授けることはお金に変えられない価値があるというのがロンさんの教育方針だ。

 子供たちには慈しみの心をもって生きるよう教育してきたロンさんだが、お盆の習慣がない遠い国に住む娘たちには思い出してもらえればと語る。3月に娘たちを訪ねて渡米したロンさんは、来年4月に米国を再訪する予定だ。

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