ベトナム人民軍の軍医学院と地場ベトアー・テクノロジー・コーポレーション(Viet A Technology Corporation、ホーチミン市)から成るコンソーシアムによる新型コロナウイルス検査キットの研究開発(R&D)、評価、流通認可、価格設定、購買調達に関する汚職事件で、北部紅河デルタ地方ハイズオン省共産党委員会元書記のファム・スアン・タン容疑者(男・56歳)が新たに逮捕された。また、同省元保健局長のファム・マイン・クオン容疑者(男)も同時に逮捕された。
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2人はハイズオン省の新型コロナウイルス検査キットの調達においてベトアー社の談合に加担したとして、刑事法第356条に抵触し、公務執行にあたり役職・権限を乱用した容疑で捜査を受けている。
タン容疑者は2020年10月に2020~2025年任期のハイズオン省共産党委員会書記に選出され、同省のトップになった。同事件への関与が判明したことを受け、ベトナム共産党の政治局と書記局は9月16日、容疑者が民主主義的中央集権主義(民主集中制)、党員として遵守すべきルール、生活習慣、道徳に関する規則に違反し、党員として国民の模範となる責任を果たさず、党の尊厳を著しく損なったとして、党における役職を停止することを決定した。
政治局がハイズオン省共産党委員会の新書記を任命するまでは、レ・バン・ヒエウ筆頭副書記が同省共産党委員会を率いる。
同事件では、ハイズオン省保健局傘下の疾病管制センター(CDCハイズオン)のファム・ズイ・トゥエン元所長(男)が2021年末に逮捕されている。トゥエン容疑者は同社から270億VND(約1億6500万円)の賄賂を受け取ったとされている。
なお、事件が発覚した2021年12月から現在までの9か月間に逮捕された容疑者の数は90人以上に上る。
逮捕された容疑者には、ベトアー社の役員のほか、元科学技術相で逮捕までハノイ市共産党委員会副書記 兼 人民委員会主席を務めていたチュー・ゴック・アイン容疑者と前保健相のグエン・タイン・ロン容疑者をはじめとする科学技術省と保健省の複数の幹部や、◇ホーチミン市、◇ハイズオン省、◇北部紅河デルタ地方ナムディン省、◇東北部地方バクザン省、◇同ハザン省、◇北中部地方ゲアン省、◇同トゥアティエン・フエ省、◇東南部地方ビンズオン省、◇南部メコンデルタ地方ハウザン省など多くの省・市の疾病管制センターや公立病院の幹部などが含まれる。
公安省の捜査結果によると、ベトアー社は検査キットの製造に用いられる原材料や機械設備の価格を水増しする形で生産コストを詐称し、不当な高値で販売した。2020年4月に保健省から流通認可を取得し、2020年から2021年にかけて全国63省・市のうち62省・市の疾病管制センターや医療施設などに製品を販売し、売上高は4兆VND(約244億円)に上った。不当な価格に同意した見返りとして、疾病管制センターや医療施設の長などに合わせて約8000億VND(約49億円)の賄賂を渡していたとされる。