毎週土曜日の午後4時、ホーチミン市体育スポーツトレーニングセンターでは、決してリズムの揃うことのないエアロビクス教室が開かれている。自閉症や発達障害、ダウン症の子供たちが通う教室だ。
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子育ては簡単なものではない。それが障害を持つ子供となると、その困難は何倍にもなる。この特別なエアロビクス教室は、障害を持つ子供を育てる親たちが抱える困難を少しでも軽くしようという想いから、開かれている。
ここでインストラクターとして教えるオアインさんは、自身も15歳になる自閉症の子供を持つ。子供と一緒に練習するなかで、発達に効果があり、ストレスも低下したため、他の子供にも教えてみようと考えた。障害を持つ子供がいる家庭の状況がよくわかっただけに、このエアロビクス教室が開かれるというニュースを聞いた時には、進んでインストラクターに手を挙げた。
「親たちを巻き込んで、気持ちをもっと深めて、絆をもっと強めようと。他のスポーツでは難しいことも、このスポーツならできます。子供と一緒にエアロビクスをすることで、親は健康も維持できます。健康でなければ、子供と一緒に歩いて行くことはできません」とオアインさんは言う。
教室に来ても、ひとつのところにじっとしていることができない子もいて、そんな子のために親は走り回らなければならない。
子供と通うロアンさんは、「何度も何度も言って、ようやくできるようになります。普通の子なら1~2回言えばできるような簡単な動作も、ここに集まる子たちは、何回も何回も繰り返さなければなりません」と言う。
立つ位置、リズムの取り方、インストラクターの指導の聞き方、子供たちはひとつひとつ、親たちのサポートを得ながら覚えていく。インストラクターが教える動作も、子供たちはすぐに忘れてしまうどころか、そもそも集中して見ていないことも多いため、親たちは子供のすぐ側に付き添って、教える。
障害を持つ子供に教えるということはこんなにも大変なのだが、子供たちの進歩がわずかに見えるだけでも、それは貴重な宝であり、インストラクターや親たちがこの教室を続ける大きな原動力となるのだ。