- 園児8人が死亡、2人が行方不明
- 一番キレイな提灯作りたい夢叶わず
- 鉄砲水に伴う地滑りで村落壊滅
中秋節は「子供たちの旧正月」と呼ばれている。この時期、子供たちは手作りの提灯などを持って、通っている小学校や幼稚園に集まり、クラスメイトや担当教諭とパーティーをする。西北部地方ラオカイ省バオイエン郡フックカイン村ヌー村落(lang Nu, xa Phuc Khanh, huyen Bao Yen)にあるフックカイン第1幼稚園でも、いつもと変わらない中秋が訪れる、はずだった。
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しかし今、園内に響いていた子供たちの元気な声はなく、幼稚園教諭のホアン・ティ・ヌさん(36歳)は、使われなくなった玩具や持ち物の整理をしながら哀悼の気持ちで日々を過ごしている。
ラオカイ省を含む北部地域は、台風3号(アジア名:ヤギ、日本では台風11号)の影響に伴う連日の大雨に見舞われており、ヌー村落では大規模な鉄砲水が発生。同幼稚園の園児たちの家は地滑りで流され、園児10人のうち8人が死亡し、2人が行方不明となっている。
ヌさんは、「あの子たちの家は跡形もなく流されてしまいました。もう何も残っていません。あの子たちに関する書類で残っているのは園が保管していたものだけ。数日中に子供たちの死亡届の準備をしなければなりません」と語り、声を詰まらせた。
ヌさんによると、鉄砲水に伴う地滑りで流された37世帯には、同園に通っていた0~5歳の園児18人がいた。現在までに当局が無事を確認したのは8人だけで、残りの8人は死亡、2人が行方不明のままだ。行方不明者の中には最年少の乳児(生後38日)も含まれる。
ヌさんは、「土砂と水が押し寄せる瞬間、私は現場にいて、彼らの助けを求める声を聞きました。その中には園児もいました。でも、勢いよく流れる濁った水の前に私は無力で、子供たちを助けることができませんでした。園で過ごした子供たちとの日々を思い出します。一緒にご飯を食べて、遊んで、寝て…。決して忘れることができない思い出です」と涙ながらに続けた。
年長クラスの主任であるマイ・ホン・ニュンさん(43歳)は、「行方不明者が早く見つかることを祈っています。この数日は当局の捜索に協力して、ほぼ徹夜で過ごしています。願わくば奇跡が起きて欲しい。あと数日で中秋を迎えます。子供たちと提灯を作る約束をしていました。一番きれいな提灯を作って、お母さんにプレゼントするんだと言って競い合っていました。それが叶わないと思うと悲しいです」と話した。