- 33歳村落長が災害から住民の命を救う
- 地滑り発生を懸念で山の上に避難指示
- 避難翌日に村落は地滑りで壊滅的被害
西北部地方ラオカイ省では、先週末にベトナム北部を襲った台風3号(アジア名:ヤギ、日本では台風11号)の影響で大雨が続いたことで、鉄砲水に伴う地滑りが相次いで発生しており、甚大な人的被害が出ている。各地で多くの死者・行方不明者が出る中、その奇跡の一報は届いた。
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土砂にのみ込まれて住民全員が行方不明になったと疑われていたバックハー郡コックラウ村コーバン村落(thon Kho Vang, xa Coc Lau, huyen Bac Ha)の住民115人が山の上で無事発見された。村落長バン・セオ・チューさん(男性・33歳)の賢明な判断が住民らの命を救った。
チューさんが住む同村落内の住宅区には17世帯115人が住んでいる。8日夜から9日午前にかけて大雨が降り、村落周辺にある丘が大雨により崩壊する危険性があったため、チューさんは9日午前9時ごろに住民全員を村落から1km離れた山の上に避難させることを決定した。
チューさんは電話で状況報告しようとしたが、通信障害により連絡を取ることが困難だった。土砂崩れも発生し、同住宅区から約4km離れたチャイ(Chay)川沿いにある別の住宅区とは連絡の手段がなかった。
チューさんの指導のもと、村落の人々は山の上に避難。男性らは平らな場所で防水シートや竹などで14棟の小屋を建て、女性と子供たちは食事の準備や片づけを担当していた。
不安が的中し、10日には鉄砲水に伴う地滑りが発生して村落は雪崩込んだ土砂にのまれた。大量の土砂により当局の捜索活動は難航。一時は村落ごと壊滅かと思われたが、11日昼頃になって避難していたチューさんと住民らを発見し、同日午後に避難先に食料と水を運んだ。チューさんらは、2週間分の食料と水が確保されたため、しばらくは避難先で過ごすとしている。
なお、避難指示の際に連絡がつかなかったチャイ川沿いにある住宅区の民家5軒はすべて流され、3人が行方不明となり、2人の負傷者が出た。