- 安全確保の一環として観光船にAIS搭載
- 早期気象警報システム導入計画も
- 7月に観光船が転覆、39人死亡
東北部地方クアンニン省のハロン湾とバイトゥーロン湾では、安全確保の一環として、すべての観光船に船舶の安全航行を支援する「自動船舶識別装置(AIS)」を搭載する。すでに全体の80%が搭載済みで、8月15日までに全隻への搭載を完了する予定だ。
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AISは、船舶の位置や進行方向、速力などを自動的に送受信し、他の船や陸上局と共有することにより、衝突の危険を早期に発見し、安全な航行を支援する。既存の無線通信システム「国際VHF」と併用することで、緊急時の対応能力を高めることができる。
現行の国家基準では、定員50人超の観光船のみに対してAISの搭載が義務化されているが、海洋観光が盛んなクアンニン省では、定員を問わず、すべての観光船でAISの導入が自主的に進められている。
同省当局はこのほか、地球科学研究所(IES)の協力を得て、沿岸部に早期気象警報システムを導入する計画だ。さらに、同省軍事司令部は6日より、軍医船1隻と高速船2隻から成るパトロール隊を動員し、24時間体制で監視を行っている。
現在、ハロン湾では約500隻の観光船が営業しており、このうち200隻近くが宿泊付きのクルーズ船となっている。
同省当局が安全対策を強化している背景には、ハロン湾で7月19日に観光船「ビンサイン58号(Vinh Xanh 58)」が突然の雷雨と強風で転覆した事故がある。この事故では、乗客・乗員49人のうち、39人が死亡した。