慈善活動の億万長者 ホアン・キエウ

2006/12/31 07:07 JST配信

 氏の一日は、カリフォルニア州ウエストレイクにある自宅から8キロ以上にも及ぶ早朝ジョギングで始まる。ベトナム出身の経営者ホアン・キエウ氏、彼は慈善活動の人であり、2005年の米ビジネスマン・オブ・ザ・イヤー受賞者だ。

 現在彼は全米各地及び中国にネットワークを持つ血しょう製品会社(RAAS)の代表取締役であり、有名な慈善活動家だ。ベトナムでは2006年6月からこれまでに、貧困者の住宅建設・洪水被害者への支援・身体障害児童への支援などに200億ドン(約1億5000万円)の寄付を行っている。また、タインニエン新聞社の慈善基金にも彼は150億ドン(約1億1000万円)を寄付している。

 1975年にベトナムを離れた後、カリフォルニア州サウザンドオークスに定住。31年たった今日、彼は中国に2つの工場を持つ会社の代表取締役になった。1000人に及ぶ社員のうち80%は大卒、大学院出身者も多数いる。現在、上海RAASは中国の血しょう製品生産業界でトップの座を占めている。

 中国RAAS社が世界市場に輸出しているのは、同社生産量のおよそ20%に過ぎないという。それでも、ガンマ抗体・ヘモグロビン・アルブミンのような主要製品は、中米のいくつかの国で100%の市場シェアを占めている。現在、毎年の売上高が100億ドルに達する血しょう製品会社は世界でも10社しかない。彼はこの10社のうち2社がアメリカの会社で、そのうちの1社がRAAS社だと誇らしげに語る。ベトナムに工場を作る予定はとの質問に、彼は「それは私の夢でいずれは作る予定だ。でも今はまだ市場が小さいからね」と答えた。

 ホアン・キエウは北中部地方クアンチ省ビッケー村の儒教家の家に生まれた。祖父はフエ朝廷の官吏だったという。貧しいかやぶき屋根の情景が、幼いころの記憶に刻まれていると彼は語る。当時唯一彼の家だけがかわらぶきの屋根だった。年月を経て再び故郷を訪れた彼は、裕福になった家がある一方でいまだかやぶきの屋根の下で暮らすのを余儀なくされている人々がいることに心を動かされたという。

 彼は5歳のころから音楽家のおじに預けられてサイゴンで育った。1975年に渡米し、数カ月後アボット製薬会社に入社、5年後には血しょう製品試験生産部門の部長になった。彼は仕事の傍ら、アボット社の計らいにより1976年から1979年までサンタバーバラ大学のマネジメント学科で学んだ。1980年から1994年の14年間で、全米内に11の血しょう収集センタ-を立ち上げ、1987年には上海RAAS社の設立という形で中国進出の夢も果たした。毎日朝5時から深夜12時まで働き続けた年月の結果だった。

 会社に入って30年以上経った今でも、経営に対する興味は薄れないという。現在RAASのベトナム支社では、果物やドライフルーツをウォルマート、カルフール、メトロ、ロータスなどの大型小売チェーンや中国の市場へ卸す仕事も行っている。彼によるとこの市場は大変魅力的で、ベトナムの農民たちを助けることにもなるので皆がもっと参入すべきだという。

 年齢を重ねるにつれて彼は慈善活動に力を入れるようになった。最近の彼の関心事は台風9号の被災状況だという。ホーチミン市で12月に行われたチャリティーコンサートを通じて29億1千万ドン(約2100万円)を寄付した。このうち16億ドン(約1200万円)は台風の救済支援に、残りは難病を患っている孤児らの養育センター建設や貧しい子どもたちのための住宅建設や奨学金の資金として寄付された。

 故郷を離れて長い年月がたった今も、貧しいかやぶき屋根の風景をひと時も忘れることはないという。彼は国内外の良心家たちに貧困者への支援を呼びかけている。「子どもたちに何か伝えたい言葉は?」という問いに、彼はこう答えた。「人生は終わりなき勉強、常に努力し向上することだ」

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