映画「サイゴンボディガード」落合賢監督インタビュー【前編】

2016/04/10 05:00 JST配信

―――撮影で大変なことは。

(C) VIETJO
(C) VIETJO
(C) Saigon Bodyguards
(C) Saigon Bodyguards
(C) Saigon Bodyguards
(C) Saigon Bodyguards

やはり言語の違いがあるので、通訳に時間がかかったり、勘違いが起きたりしますね。僕も相手も英語が母国語ではないので、第2言語として話していて、すれ違いがよく起きます。その小さな積み重ねが時間のロスに繋がります。

ただ、もちろん日本で撮影していても多少のニュアンスの違いはあります。日本だと「それは難しいですね」と言うと、「難しいけどできる」のか「難しいのでできない」のか、空気を読まないといけない。米国では「イエス」と「ノー」がはっきりしています。ベトナムでは「できる、できる」「大丈夫、大丈夫」と言いつつ、実際はできていないこともあります。

それから、今回の作品はサイゴン川の水上での撮影もあって、それ以外にもカーチェイスあり、アクションあり、コメディーあり、ヒューマンドラマありなので、大変な部分もありました。

―――ベトナム人キャストの方々の印象や現場の雰囲気はいかがですか。

和気あいあいとした現場だと思います。やはりアクションコメディー映画を作っているだけに、現場の雰囲気が映画の楽しさにも繋がってくると思います。ですが、他の国と比べて声のボリュームがすごく大きい国なんじゃないかな。ベトナムでは皆が皆、大声で怒鳴っているかのように話し合っていて、そういう意味では、すごくにぎやかな現場ですね。

キャストの印象。特にタイ・ホア(Thai Hoa)さんは本当に素晴らしい役者さんです。カメラが回った時の存在感など、やはり普通の人とは違うオーラが出ている。彼を見ているだけで楽しくなります。それが何なのかというのは、スター性という言葉でしか表現できないかもしれません。色々なテイクで色々なギャグを混ぜたり、アドリブをどんどん入れたりするので、何回も何回もただ見ていたい。そんな役者さんはなかなかいません。

ベー・チャン(B Tran)さんも、素晴らしい演技をしています。今回はボディガードの話で、ある大企業の息子が誘拐されて、そっくりさんをすり替えるんです。それで、すり替えている間に本物のクライアントを探す、というコメディーでもある。彼は地方からやって来たフォー売りと大企業の息子の2役を演じています。2つの裏表の役を演じる中で、すごく繊細な演技をするので、これからどんどん伸びてくるのではないかと思っています。

―――ベトナムでの公開は12月とのことですが、日本での公開予定は。

日本でも単館などで公開しないかという話は出ています。ただ、ベトナム映画が日本で公開されるというのはほぼ前例がないので、単館が精一杯かなとも思います。最近はインディペンデント映画自体、日本の映画館でなかなか公開されないこともありますしね。

この映画のメインの目的は、ベトナムで、ベトナム語で、ベトナムの観客に楽しんでもらうことですが、可能であれば、ベトナムのコンテンツとしてこの作品を北米や日本などにも進出させていきたいと思っています。

――――――

落合賢監督プロフィール

落合賢(おちあい・けん)

1983年生まれ。東京都出身。高校卒業後に渡米し、南カリフォルニア大学で映画製作を学んだ。大学卒業後は、アメリカ映画協会付属大学院(AFI)映画監督科で修士号を取得。

短編と長編合わせて30本以上の作品を国内外で監督し、ショートショートフィルムフェスティバルで東京都知事賞(「ハーフケニス」2009年)及び国土交通大臣賞(「井の中の蛙」2010年)、ローマ国際映画祭最優秀国際短編映画賞(「ハーフケニス」2009年)など数々の賞を受賞。2013年には、ウエンツ瑛士主演の「タイガーマスク」が公開。2014年公開の「太秦ライムライト」は、米国など世界中で広く上映され、大きな注目を集めた。

前へ   1   2   次へ
[2016年4月10日 ベトジョーニュース A]
※VIETJOは上記の各ソースを参考に記事を編集・制作しています。
© Viet-jo.com 2002-2025 All Rights Reserved 免責事項

この記事の関連ニュース

 落合賢監督が手掛けたベトナム映画「サイゴン・ボディガード(Ve Si Sai Gon)」が、ハリ
 落合賢(おちあい・けん)監督の新作ベトナム映画「パパとムスメの7日間(Hon papa da con gai)」が
 落合賢(おちあい・けん)監督の新作ベトナム映画「パパとムスメの7日間(Hon papa da con gai)」が
 落合賢監督の新作ベトナム映画「パパとムスメの7日間(Hon papa da con gai)」が、12月28日に公開
 落合賢監督の新作ベトナム映画「パパとムスメの7日間(Hon papa da con gai)」のプレミア試写会が
 落合賢監督の新作ベトナム映画「パパとムスメの7日間(Hon papa da con gai)」が、12月28日(金)
 ベトナム映画の上映やシンポジウムなどを行う「ベトナム映画祭2018」が、9月1日に神奈川県横浜市のミニ...
 ベトナム映画の上映やシンポジウムなどを行う「ベトナム映画祭2018」が、9月から神奈川(横浜)・大阪・...

新着ニュース一覧

 公共の場に自動体外式除細動器(AED)を設置するベトナム初の取り組みが始まった。心停止後の初動対応力...
 インターネット接続の性能を評価するウェブサイト「スピードテスト(Speedtest)」を運営する米国のオー...
慣れない海外生活、急病や事故
何かあってからでは遅い!
今すぐ保険加入【保険比較サイト】
 格安航空会社(LCC)最大手ベトジェットエア[VJC](Vietjet Air)は、米ボー
 南部メコンデルタ地方ドンタップ省に住むファン・ゴ・ジエム・フオンさん(女性・18歳)には「我が家」が...
 ベトナムの決済アプリ大手「モモ(MoMo)」は、世界的保険グループであるチャブグループ(Chubb Group)傘...
 ホーチミン市当局は10月、ビンチュン街区(旧トゥードゥック市)のマイチート(Mai Chi Tho)通りに全長約5...
 KDDI株式会社(東京都港区)は11日、ベトナム郵便通信グループ(Vietnam Posts and Telecommunications Gr...
 株式会社多摩川ホールディングス(東京都港区)の孫会社である多摩川電子ベトナム(TAMAGAWA ELECTRONICS ...
 家具・建築用金物製造販売を手掛ける株式会社中尾製作所(三重県津市)は4日、東南アジア地域における販...
 ホーチミン市タンミー街区(旧7区)のサイゴンエキシビション&コンベンションセンター(SECC:799 Nguyen...
 ベトナム共産党政治局は、政治システムにおける職位・職務区分を改定する決定第368号-QD/TWを公布した...
 地場系コングロマリット(複合企業)ビングループ[VIC](Vingroup)傘下の電
 マレーシアを公式訪問したチャン・タイン・マン国会議長は同国の首都クアラルンプールで19日にジョハリ...
 電動バイクの生産・販売を手掛ける地場スタートアップのダットバイク(Dat Bike)は18日、シリーズBラウ...
トップページに戻る